統合メッセージングだけじゃない、エンドユーザーには嬉しいExchange 2007の新機能モバイル Ready!なコミュニケーション活用術(4/4 ページ)

» 2007年05月16日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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予定表機能の強化

 グループやチームの予定表をホストするためのMicrosoftの主力製品は、ExchangeのパブリックフォルダからSharePoint 2007にシフトしているが、個人の予定表データについては現在もExchange 2007のメールボックスがメインに使われている。また、出席依頼や会議の更新情報の通知には、メールが利用されることも変わりはない。Exchange 2007とOutlook 2007では、予定表や会議の管理機能に、次のような多数の便利な強化が施されている。

予定表共有の簡素化

 Outlook 2007には個人用の予定表の共有という新機能が追加され、他のExchangeユーザーとグループが個人の予定表を読み取り専用で簡単に参照できるようになった。また、この機能を使用すると、あるユーザーが他の複数のユーザーに自分の予定表を公開していることを同時に通知したり、相手にも予定表を公開するようリクエストしたりできる。

 Exchangeではこれまでもユーザーの空き時間情報を公開し、会議の主催者が会議を開催できそうな時間帯を確認できるようになっている。また、この情報は他のアプリケーションからも利用でき、例えば、Microsoft Live Communication Server 2005用のOffice Communicatorインスタントメッセージングクライアントは、この空き時間情報を基に自動的にユーザーのプレゼンス状態を“会議中”に設定する。そのほか、Exchangeの予定表フォルダにアクセス権を設定して、指定した他のユーザーに予定表の参照だけでなく管理さえも許可することができた。ただし、Outlook 2003でこのようなアクセス権を設定する手順は複雑で分かりにくかった。

 これまでのバージョンと同様にExchange 2007でも、所有者によって“プライベート”に設定された予定表アイテムの詳細は、予定表を共有している場合でも他のユーザーには公開されない。

カレンダーアテンダント

 Exchange 2003以前のバージョンでは、メールメッセージを使用して、他の会議の出席者に「出席依頼」「出席の辞退」「出席の承諾」を通知していた。このため、会議の開催者が会議の予定を変更して更新情報を送信するたびに、ユーザーは新しいメールアイテムを受け取り、受信した順にこれらのアイテムを処理しなければならなかった。

 Exchange 2007も同じ方法を採用しているが、自動的にユーザーのメールボックスから最新のアイテムを除いてすべての会議アイテムを削除し、混乱を防いでいる。また、受信者が会議出席依頼に返信していなくても、カレンダーアテンダントは自動的に受信者の予定表と空き時間情報(Windows Mobile や他の互換端末と同期される予定表データも含まれる)に仮の予定を設定する。

 この機能により、多数の未読メッセージを抱えるユーザーが、予定表を確認するか会議の通知を受信した際に、少なくとも打診されている会議があることを認識できるようになるだろう。

リソース予約機能の改善

 Exchange 2003の予定機能において、頭の痛い問題の1つだったリソース予約機能は、Exchange 2007で大幅に改善されている。

 Exchange 2003以前のバージョンでは、リソース(会議室、ビデオプロジェクター、共用車両などの共有設備や機器)を個人でまたは会議で使用する場合に、OutlookまたはOWAから予約することができた。この機能は、各リソースに専用のメールボックスを割り当てることで実装されており、リソースの予約には、個人を会議に招待するためのメカニズムと同じものが使われていた。この実装方法のために、意図されていない問題が生まれていた。つまり、リソースの使用要求を管理(リリースの受信トレイの監視など)する担当者を用意するか、全ユーザーにリソースのメールボックスのアクセス権を付与して直接予約できるようにする必要があった。

 後者の場合は、予約を行う際や既存の予約を削除する際に競合が発生する可能性がある。Microsoftは後に、先着順で予約が受け付けられるようにするExchange 2003用の自動承諾エージェントを無償で提供したが、このコンポーネントは設定が分かりにくく、Exchange管理コンソールとの統合も完全ではなかった。

 Exchange 2007では、グローバルアドレス一覧のユーザーアカウントから容易に見分けが付く特殊なリソース用のメールボックスを作成でき、これらのリソースにはカスタムのプロパティ(会議室の収容人数や車のナンバーなど)を設定できる。また、リソース要求を自動的に管理するリソース予約アテンダントという新しいサービスも用意されている。

 リソース予約アテンダントは、管理者が定義したポリシーを基に自動的に要求を承認するか、拒否してその理由を説明するメールを要求者に送信する。リソース予約ポリシーには、使用できる時間数、予約が可能な期間、リソースを予約する権利を付与するユーザーを定義でき、ポリシーに合わない要求については特別に承認が得られるよう指定されたリソース管理者に転送するように設定できる。リソース予約用の予定表は公開され、ユーザーが各リソースの予約状況を簡単に確認することができる。

不在通知メッセージの管理機能の強化

 OutlookとOWAでは、“不在時”(OOF:out-of-office)の通知と呼ばれるサーバーベースの特殊なExchangeルールを作成して適用できた。不在時の通知は、事前に設定したメールメッセージをメールの送信者に自動的に返信する機能だ。ただし、既定ではExchange 2003は会社のドメイン外部の差出人に対してOOF通知を送信できない設定になっている。これは管理者により変更できるが、グローバルな設定であり、社員が外出中であることを信頼できない個人に知らせるリスクを避けるために、既定のままで運用しているケースも多いだろう。

 Exchange 2007では、各ユーザーが外部のメールの送信者に対してOOF通知を送信するかどうかを指定できる。また、Exchangeの連絡先として登録されている外部ユーザーにしかOOF通知が送られないように設定することも可能だ。さらに、OOFルールを有効にする開始日時と終了日時を設定して、帰社後にOOFルールをオフにすることを忘れ、無意味なOOFメッセージが送信されてしまうのを防ぐこともできるようになっている。

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