モバイルブロードバンドの決定版として登場したイー・モバイル。今回はイー・モバイルの「EM・ONE」を検証し、ビジネスユースの快適さを探ってみた。
連載「再考・ワイヤレスネットワーク」では、本記事を含む以下の記事を掲載しています。
【第1回】わたしがモバイルをしたくない理由
【第2回】なぜ、我が社には無線LANがない?
【第4回】Skype専用携帯電話の「使える度」
【第5回】無線LANの高速化におカネはかからない?
【第6回】夢を先取り!? 移動体インターネットの使える度を検証
【第7回】ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?[前編]
【第8回】ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?[後編](本記事)
前回の記事では、ノートPC、および携帯電話を使ったモバイルブロードバンドを取り巻く難しい状況を解説した。要するに、ノートPCならクライアント環境はほぼオフィス環境と同じで、同じネットワークサービスをふんだんに使えるが、オフィス外でアクセスできる環境が充実していないことが問題だ。一方、携帯電話のメールやWebブラウジングを使ったモバイルは、機能面で見ると本格的なビジネスユースはまだ難しい。また、通信速度が低くコストも比較的高いといった具合だ。
そこで注目されるのがスマートフォン。携帯電話をさらに高機能化し、アドレス帳やスケジューラの利用、メールやWebブラウジングはもちろん、Microsoft Office書類やPDF書類を開いたり、作成したデータをネットワーク経由でアップロードすることもできる。まさに、ビジネスユースをターゲットにしたデバイスだ。ここでは、最新のスマートフォン、イー・モバイルの「EM・ONE」を取り上げ、その実用性を検証していく。
スマートフォンの定義はちょっと難しい。昔からPDAに慣れ親しんできた人たちから見れば「PDAに電話機能が付いたもの」と映ることだろう。逆に、携帯電話のインターネット機能を使いこなしてきた人から見れば「メールやWeb、スケジューラやアドレス帳などの機能をさらに拡張した高機能電話」として映るだろう。
だが、EM・ONEはそのどちらでもない。VGA(800×480ピクセル)という大型液晶画面とQWERTY配列キーボードを備えた、ミニコンピュータなのだ。その最大のポイントは、汎用OSである「Windows Mobile 5」を搭載し、ユーザーが自由にアプリケーションをインストールしたりカスタマイズできる点にある。
Windows Mobile 5は、小型携帯端末向けのWindows OSのサブセット版だ。Webブラウザ「Internet Explorer」やメールソフト「Pocket Outlook」、「予定表」や「アドレス帳」、「Excel/Word/PowerPoint Mobile」「Windows Media Player」などのWindowsアプリケーションを標準搭載している。
また、EM・ONEにはWebブラウザ「Opera for S01SH」、メールソフト「SHメール」、PDF閲覧ができる「Picsel PDF Viewer」や電子書籍閲覧ツールである「ブンコビュアー」、日本語入力環境の「ATOK」などもプリインストールされている。もちろん、Windows Mobile 5に対応するアプリケーションのほかフリーウェア/シェアウェアも自由に追加できる。
Windowsとのデータの同期は、Windows XPの場合は「ActiveSync」、Windows Vistaの場合は「Windows Mobile Device Center」というソフトが必要だ。
EM・ONEとWindows PCとをUSBケーブル、もしくはBluetoothで接続すると、これらのソフトが自動的に起動し、Microsoft Outlook(Outlook Expressではない)のメールデータ/連絡先/予定表/仕事/メモ、Internet Explorerのブックマークなどを同期する。また、マイドキュメントの画像やビデオ、書類なども同期できる。
このように、WM5はOutlookユーザーを対象としているので、普段Outlook Expressなどほかのメールソフトを使っている場合、「Sync Express 3」などのシェアウェアを使う必要がある。
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