ヤフーやグーグルが相次いでモバイルインターネット検索のポータル機能を強化した。精度の高い検索技術を追求する企業も現れた。新たな時代に突入したモバイル検索の現状を探る。
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総務省の2007年版情報通信白書によると、2006年末の国内のインターネット利用者数は、PCが約8055万人、携帯電話やPHSが約7086万人だった。モバイルインターネットサービスは、PCから4年ほど遅れた1999年に始まったが、現在はPCに匹敵するユーザー規模を抱えるまでになった。
2007年秋、PC向けインターネットの検索ポータルサイト大手であるヤフーとグーグルは、相次いでモバイルインターネット検索サービスを強化すると発表した。ヤフーが提供するのは「oneSearch」。グーグルはポータルサイトとしての機能を強化している。
ソフトバンクの孫正義社長は、oneSearchについて「求める情報に数クリックでアクセスできる環境を目指した」と発表の席で述べている。グーグルでストラテジックパートナーデベロップメントパートナーマネジャーを務めるジョン・ラーゲリン氏は、11月27日のモバイルコンテンツフォーラムの会場で「携帯電話の限られた画面内でも、PCと同様のユーザービリティが求められる」とコメントしている。
PCポータルの大手2社がモバイルインターネットでもポータル機能の強化を始めた背景には、ユーザーの拡大とともに通信事業者の公式メニューに縛られないオープンサイトの普及がある。
公式メニューでは、モバイルサイトの告知から課金・回収までをキャリアが代行するため、コンテンツプロバイダー(CP)にとっては事業投資の負担やリスクが小さいというメリットがある。だが、コンテンツ内容を審査されるなど制約も多く、モバイルサイトの増加と競争の激化に伴って、オープンサイト化を志向するCPが増えつつあるようだ。
オープンサイトが圧倒的な数を占めるPCインターネットの世界では、ポータルサイトの存在がユーザーにとっては欠かせない。モバイルインターネットでもオープンサイトが増えれば、PCと同様にポータルサイトの存在が求められるようになる。ヤフー、グーグルの動きは、ユーザーニーズを踏まえたものといえる。
モバイルインターネットでもポータルサイトの存在感が高まれば、PCポータルと同様に検索連動型を中心とした広告によるビジネスモデルを展開できるようになる。グーグルは、10月から検索連動型広告サービス「AdSense」をモバイルサイト向けに開始した。ラーゲリン氏は、「モバイルならでは検索アルゴリズム開発を進める。PCと同じ価値をモバイルの広告主に提供する」とコメントしている。
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