機会損失をなくして過去最高益に人材紹介会社の顧客情報管理(1/2 ページ)

人材紹介や教育研修、キャリアサポート事業を展開するジェイックは機会損失の発生をSaaS型CRMソリューションによって軽減した。

» 2008年04月01日 10時03分 公開
[ITmedia]

導入前の課題

顧客情報をコンサルタントが抱え込んでいたために機会損失が発生していた。

紙ベースの顧客情報管理では、案件の条件に合った登録者を検索するのに時間がかかった。


導入後の効果

各コンサルタントが担当する顧客情報が可視化されて、機会損失が減るとともに登録者の転職決定率が上がった。

登録者の検索が容易になり、コンサルタントの負担が軽減された。


 ジェイックは「人と組織」にフォーカスして、人材紹介や教育研修、キャリアサポート事業を展開。特に6年前に参入した人材紹介事業は、売り上げ・営業利益とも過去最高を計上するなど成長が著しい。

 急成長の背景には、一気通貫のコンサルティングがある。人材紹介はクライアント企業と応募者の担当を分業する業務スタイルが一般的だが、分業はクライアントと応募者のミスマッチが起きやすいとも言われる。そこで同社はコンサルタントがクライアントと登録者(求職者)の双方の窓口になってマッチングを行い、高い定着率を実現。それが多くのクライアントに支持される要因になっている。

 クライアント企業や登録者などの顧客情報を管理するために、ジェイックは4年前にASP型の人材紹介業向け業務システムを導入した。しかし、使い勝手が悪くて現場には定着せず、顧客情報をはじめとする業務情報は各コンサルタントが紙で管理する習慣が続いていた。

 そこで課題として残ったのが機会損失だった。通常、クライアントは複数の人材紹介会社にオファーを出す。登録者も同じで、複数の人材紹介会社に登録するのが一般的だ。そのため自社のクライアントと登録者が、競合の人材紹介会社を通して転職するケースが珍しくない。

人材紹介の業務に合わせてCRMを3日で構築

 こうした機会損失が起こるのは、各コンサルタントが自分の顧客を抱え込んでしまい、他のコンサルタントが扱う案件を把握できないことが一因である。機会損失を減らすには、情報共有が難しい紙ベースの管理から脱却して、チームで顧客情報や案件情報を共有できる仕組みを新たに構築する必要があった。

 また人材育成という面でも案件情報の可視化は求められていた。人材紹介事業部事業部長の上島隆司氏は、次のように語る。

ジェイック 執行役員 人材紹介事業部 事業部長 上島隆司 氏

 「マネジャーは優秀なコンサルタントに案件を任せたくなるものですが、そればかりでは若いコンサルタントは育たない。長期的なことを考えるなら、マネジャーがチーム内で動いている案件をきちんと把握して、バランスよく案件を割り当てられる環境が必要でした」

正確な案件情報の共有で若いコンサルタント育成を

 そこで同社は、06年7月にSaaS型サービス「Salesforce」の導入を決定。選定の理由は、初期投資の負担が少ないこと、柔軟性があり、自社でカスタマイズが可能なことだった。

 「Accessを使えるレベルのITリテラシーはあったので、構築は自分で行いました。人材紹介は顧客がクライアント企業と登録者の二通りあるので苦労した部分もありましたが、わずか3日間で構築は完了。8月から稼働しました」

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