ウィルコムの年次イベント「WILLCOM FORUM」では、最新の端末を活用する多彩なビジネスソリューションが紹介された。その中からユニークなものをリポートしよう。
ウィルコムのPHS事業の取り組みやPHSを利用したビジネスソリューションを紹介する年次イベント「WILLCOM FORUM」が5月27日から2日間、東京ミッドタウンで開催された。最新端末を活用したビジネスソリューションをリポートする。
流通・小売業界向けに7月中旬に発売予定のMID(Mobile Internet Device)端末「WILLCOM D4」を利用した電子POPソリューションを出展した。ソリューションパートナーのNTTコミュニケーションズが開発した「香るデジタルサイネージ」と組み合わせ、顧客の視覚と嗅覚に訴えるプロモーションが可能になる。
このソリューションでは、PHS回線を利用して食品などの商品プロモーションのコンテンツデータをD4に配信。端末側では菱洋エレクトロが開発したコンテンツ再生ソフトを利用して、映像の再生やタッチパネル操作を利用した商品ナビゲーション、香り発生装置から商品をイメージさせる匂いを発生させることができる。
ウィルコムは、昨年のイベントでスマートフォン「W-ZERO3」を利用した電子POPソリューションを初出展。ワイヤレス対応の電子POPを利用することで、コンテンツの変更作業を人手に頼る必要がなくなり、店舗ごと再生するコンテンツを集中管理できるといったメリットがあるとしていた。
D4は、W-ZERO3よりも大画面(W-ZERO3は3.7型、D4は5型)で、処理性能も向上しているため、大画面に適したコンテンツの利用や、香り発生装置との連携など、商品訴求力を一段と高める効果が期待できるという。
ミヨシ電子は、PHSを利用した音声通話/データ処理一体型ハンディターミナル「MR2100」を出品した。この端末は、同社と物流サービスの福山通運、ウィルコムが共同開発したもので、1台の端末で通話と業務データの処理が可能。ミヨシ電子では、流通・小売などほかの業界にも展開するという。
通話機能を持つハンディターミナルとしては、無線LANを利用したVoIPモデルがあるが、MR2100は通信事業者のネットワークに対応しているのが特徴で、移動時におけるスタッフの機動力を高めるメリットがある。データ処理時に着信が割り込むと処理を中断して、通話終了後に処理を再開できる。
MR2100は、WindowsおよびLinuxベースのプラットフォームに対応し、ユーザーの業務システム環境に応じたアプリケーションを開発できるという。
日立コミュニケーションテクノロジーは、7月に発売予定の卓上型PHS端末「PHS-30DA」を紹介した。一見すると卓上型電話機のデザインだが、持ち運びが可能だ。
PHS-30DAは、ACアダプタとバッテリ駆動に対応しており、バッテリでは連続通話で3時間、連続待受時間で36時間の駆動ができる。コードレス卓上電話機としても動作するのが特徴だ。ウィルコムの内線電話サービス「W-VPN」にも対応し、内線番号での通話や保留、転送操作ができ、電話会議機能も搭載する。オフィスのレイアウト変更に伴う電話機の移動作業や内線番号の再設定といった作業が大幅に緩和できるという。
2009年春に開始する次世代PHSサービス「WILLCOM CORE」を利用したソリューションでは、大容量データ通信による映像コンテンツのダウンロード配信/アップロードを一例として紹介した。
WILLCOM COREでは、当初から数十Mbpsの高速データ通信サービスが提供される見込み。放送業界などでの利用を想定した小型の「音声/映像送受信用アダプター」は、手のひらサイズのユニットとビデオカメラをケーブルで接続するだけで、音声と映像をリアルタイムに伝送できる。
放送用途や監視カメラの映像、音声を伝送するのに携帯電話網を利用できる機器もあるが、伝送容量の制限などから大容量データを利用できない場合や、機材のサイズや重量によっては女性が扱いづらいという場合があり、こうした課題を解決する次世代機器として注目されている。
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