一方、独自のユニークな仮想化戦略を持っているのが日立だ。「BladeSymphony」のラインアップのうち、ミッドレンジの「BS320」ではVMwareを中心とするソリューションを提供するが、ハイエンドの「BS1000」では独自の仮想化システム「Virtage(バタージュ)」を提供している。サーバベンダーがIAサーバの仮想化ソフトウェアを独自に開発している例は、日立が唯一だ。
Virtageは、メインフレームのパーティーショニング技術を応用したもの。ハードウェアアシスト型の仮想化システムであり、オーバーヘッドが低く信頼性が高いことが特徴。BladeSymphony専用の独自開発のために、管理ツールである「BladeSymphony ManageSuite」と組み合わせて管理する仕組みになっている。
VMwareによるサーバ仮想化では、主にサーバ統合、レガシーシステムの延命などが目的だが、Virtageは基幹データベースやHAクラスターリングなど、高可用性・高信頼性が求められる環境でも安心して仮想化できる。それを実現しているのが、ハードウェア透過性の高さだ。VirtageはVMwareのような独自のファイルシステムを用いることなく、物理マシンと同じファイルシステムをそのまま使えるのだ。
また、性能を重視してコア単位でプロセッサを占有し、安定したサービスが提供できる「占有モード」、柔軟性を重視して複数の仮想マシンでプロセッサを共有し、状況に合わせてリソースの利用を動的に変更する「共有モード」の2つが用意されているのも、Virtageの特徴だ。
極めて高いレベルのサーバ仮想化を実現するには、仮想化ソフトウェアを独自に開発する以外には解決策がない、というのが日立の戦略。だが、IBMや富士通、NECなど、日立以外のメインフレーマーは、IAサーバ向けの仮想化ソフトウェアの独自開発を行う予定はないという。
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