設定の完了した新規の共有ボリュームに対しては、クライアントからの接続が可能になっている。今回わたしは、共有フォルダのマッピングによるSMB接続を試してみた。そのマッピングは「\\host/physicalvolumename.logicalvolumename.sharedfolder」というフォーマットで行う。例えば\store1\nas\test1という共有フォルダへのアクセスには\\192.168.100.50\store1.nas.test1を使用することになる。
WebDAV接続の場合は、これと異なるアドレス指定法が適用される。例えば先のSMBと同じ共有フォルダにアクセスする場合でも、ブラウザに指定するアドレスはhttps://192.168.100.50/mnt/store1/nas/test1というフォーマットとなる。
iSCSIボリュームに関しては、クライアントマシンにiSCSIイニシエータをインストールしておかなくてはならない。実際Windowsクライアントからの接続を試みた際にも、Windows用の最新版iSCSIイニシエータのダウンロードとインストールが必要となった。次にiSCSIターゲットのアドレスとして192.168.100.50を入力する。なお今回のテストではOpenfilerのiSCSI設定は何も変更していないので、ここでの設定はデフォルト値のままである。後はターゲットアドレスにログオンし、接続の確立後にWindowsのディスク管理を確認すれば、2GバイトのiSCSIボリュームはそのまま利用可能となっているはずだ。
iSCSIプロトコルではSANテクノロジーが使用されているので、この状況下で接続されたiSCSIボリュームは通常のディスクと同様に表示され、一般的なディスク操作のすべてが行えるようになっている。これとは対照的に、SMBなどのNASプロトコルはファイルベースのため、ボリューム単位でなくファイル単位の操作が行える。
Openfilerに装備された機能とその完成度を総合すると、非常に優れたエンタープライズストレージソリューションであると評していいはずだ。サーバハードウェアとしては、Pentium 4以上のCPU、4個のSATAディスク、RAIDコントローラー、ギガビットイーサネットカードといった装備が必要だが、この程度のスペックのマシンは1000ドル以下で入手可能であり、それだけの出費でNASとSANの双方をサポートした実用レベルのストレージシステムを構築できるのである。またOpenfilerは認証機構をサポートしているため、ストレージへのアクセス管理も簡単に行えるし、プロプライエタリ系のストレージシステムであっても標準装備されているとは限らないUPS機能をサポートしているのだ。そのほかにもスナップショット機能を有しているため、障害発生時のストレージ復旧が速やかに行えるようになっている。
実際これまでのところ、わたしが運用しているネットワークにおいてOpenfilerは安定して動作しており、果たすべき役割を遺漏なくこなしているのである。
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