パートナーとしてIBM Lotusを選んだのは顧客だけではない。世界150カ国以上の通信事業者を介して2100万人のユーザーを抱えるRIMもLotusとがっちり手を携える。
IBMは、2011年までにスマートフォンなどからWebにアクセスするユーザーは10億人に達し、モバイルシフトが起こるとみる。出荷から10年を数えるBlackBerryでエンタープライズ市場を圧倒するRIMは、IBMにとっても欠かせないパートナーだ。
RIMの共同CEOを務めるジム・バルシリー氏は、オープニングの基調講演でDomino 8.5へのいち早いサポートを実現したことをアピールするとともに、Lotus Connections、Sametime、Symphony、およびQuickrとの連携もプレビューした。SymphonyのオフィスドキュメントやConnectionsのブログをBlackBerryから閲覧できるのが第2四半期、Quickrのチームルームにアクセスできるのは今年後半からの予定だ。
バルシリー共同CEOは、「誕生から10年を祝うBlackBerryは、企業のコストを下げ、生産性を高めることに貢献してきた。Symphonyのサポート追加などで、企業はコラボレーションの場を拡大し、時間やコストの節約をさらに進めることができる」と話した。
Notes/Domino開発者で話題となっているXpagesの活用でも歩調を合わせている。Java Server Faces(JSF)技術をベースとするXpagesは、JSFの詳細を知らなくても簡単に既存アプリケーションでWeb2.0対応へと仕立て直すことができるのが特徴。このXpagesをBlackBerryがサポートすることで、通常のWebブラウザとBlackBerryのどちらからでもアクセスできる単一のアプリケーションを作成できるようになるという。こちらも今年後半には実現しそうだ。
初日の基調講演の後半は、その多くの時間を、今年で20周年を祝うNotes/Dominoの最新バージョン、8.5のデモに費やした。ちょうど日本でも出荷が始まったばかりだ。
Notes 8.5では、添付ファイルを自動的にリポジトリに格納し、ポインタのみを送ることで容量を節約するメールの改良や、Googleカレンダーのような外部のスケジューラーを統合する機能が追加されている。また、SametimeやQuickr、Connectiosとの緊密な連携も一層図られている。
金融危機を引き金とした厳しい景気後退期だからこそ、重要なコスト削減につながるDomino 8.5の強化も見逃せない。長らくNotes/Dominoの開発を統括し、昨年からNotes/Domino全体の責任を負うことになったケビン・キャバナー氏は、Domino 8.5がサーバ数で30%、CPU使用率で40%、I/Oバンド幅の消費であれば50%をそれぞれ削減できると強調している。サーバ技術に長けたIBMの面目躍如だ。
人と人のつながりが生産性を高め、成長の浮力になることは、確かにピッチャーノGMの言うとおりで、広く理解もされているだろう。しかし、多くの企業が新規のIT投資を抑制する中、移行によってサーバが集約できたり、ストレージが節約できる製品の方が分かりやすい。企業もためらうことはないだろう。日本アイ・ビー・エムでLotus事業を統括する澤田千尋事業部長も、「メールのような水平的なアプリケーションはグループ全体で統合し、スケールメリットを追求してコスト削減を図る傾向が日本企業でも見られ始めている」と話している。
Lotusphereは米国時間の1月20日、同社初となるクラウドサービス、「LotusLive」の詳細が基調講演で改めて語られる予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.