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» 2009年01月26日 17時41分 公開

伴大作の「木漏れ日」:こんな時代に業績が良い会社 (2/2)

[伴大作(ICTジャーナリスト),ITmedia]
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お手頃感、合理的、利便性

 任天堂の商品にしろ、ユニクロ、コンビニすべてに共通しているのは、お手頃な価格と合理的な商品構成、どこでも手に入る利便性だ。その意味からは、AppleのiPodもその範疇に入るのかもしれない。

 一方、大型の薄型テレビは、価格もそれなり、商品の大きさも置く場所を選ぶ。購入する人達も限られている。これでは、息切れするのは仕方がないだろう。白物家電は日本の企業が得意とする分野だが、全般的に高性能、高価格を追っかけている点で、いつか天井にぶつかるのは間違いない。

CIOも考えないと

 コンピュータが成熟製品ということに異論はないだろう。既に、価格競争は金融危機以前から熾烈を極め、金融危機とそれに伴って起きた円高で米国企業の製品が価格的優位に立っているのは誰もが認識している。価格は分かりやすい。したがって、コスト削減を求められた場合、どんなCEOもまず、ハードウエアの購入価格の引き下げを求めるのは簡単だ。

 しかし、ちょっと考えないといけないのは、ICT予算の内、ハードウエアの占める割合が年々下がってきている事だ。つまり、ハードウエアの購入価格の引き下げ余地はあまりなくなっている。仮に購買価格を半分に下げたとしても、予算総額に与える影響はほんの数パーセントにすぎない可能性がある。

 企業の中で、最大の予算を占めているのは基幹系メインフレームシステムに関連する予算だ。企業に聞き取りを調査した結果、このような固定費に近い予算が全体の80%近くに達している企業が多い。この80%に切り込めないと、経営サイドが求めているコスト削減は実現できない。具体的には運用とメンテナンス中でもシステムのバージョンアップにかかる費用は企業ユーザーにとって重荷だ。腹をくくる必要がある。

解決法

 もし、腹をくくったなら、道は2つしか残されていない。1つは既存のシステムのリプレースを前提として、オープン系で再構築する道と、もう1つは、外部にアウトソーシングする道だ。前者は非常に困難な道だが、もし達成した暁には、システム構築の自由度は飛躍的に高まり、財布に余裕が出てくるはずだ。

 アウトソーシングする場合、問題は社内でその業務に従事していたスタッフをどうするかという問題が残される。米国のようにアウトソーシングと同時にその企業に全員を移すというのは、日本では少し難しい。もちろん、この手法を取った企業も数多くあるが、この課題を解決できなければ、アウトソーシングしても、コスト削減効果は限定的だ。むしろ、外部事業者の言うがままになることで、余分なコストが発生する危険も考えられる。

この際クライアントについても考え直すべきだ

 社員1人に1台PCを与えるという時代になって十数年が経過した。これに関するコストとセキュリティの問題が相変わらず、大きな問題として企業を悩ませている。さまざまな調査会社がコストを算定しているが、おおむね、一人の年間の情報武装コストは5年償却の場合で、1人10万円を超えるようだ。従業員が1000人の会社の場合、その総額は1億円に達する。

 しかし、PCが本当に活用されているとは限らない。前記したように、世間では「お手頃な価格」を求められている。企業全員がコストアップの要因である、MicrosoftのWindowsやOfficeを使用する必然性が果たしてあるのだろうか。ちなみに、わたしのような文章を書くことで生計を立てているような人間は、マイクロソフトのお世話になることはあまりない。比較的よく使うのはExcelだが、特にExcelでないと駄目というわけでもない。Open Office.orgの「Calc」に代えても大した問題は起こらないだろう。(実際使っているが)IBMのロータス・シンフォニーとも互換性があるので、使用する上で問題は発生しないのではないだろうか。日常的な使用については問題を感じないところまで良くなってきている。その場合、OSはLinuxで十分だろう。

 これでPCのコストは劇的に下がるのはいうまでもない。ヘルプデスクの設置など、ICT部門の負荷が一時的に高まるのは間違いないだろうが、将来的なことを考えれば、前向きな投資と考えられる。

 さて、金融危機をきっかけにして、大不況が襲い、従来のビジネスモデルが危機に瀕する中、ほとんどの企業が業績悪化に苦しんでいる。CIOは単に生き残りを図るのではなく、不況を追い風に「攻め」に転じることを求められるのではないだろうか。

 前記した以外にも、今回の不況下でも空前の好況を謳歌している企業は少なくない。ICT部門も同じことがいえる。これまでと同じことをしていれば、将来が暗いのは当然だ。ともかく、いままでの旧弊を破り、新しい道を切り拓く人物が賞賛を得る時期が来たのは間違いないだろう。

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