節分に「不況の鬼」を追い払え! サイボウズが新版発表豆まき、恵方巻きのパフォーマンスも

主力グループウェア製品の最新版を販売開始するサイボウズ。同社自身、「100年に一度の不況を乗り切るため生き残りをかけたバージョンアップ」と位置付ける。発表会場には不況に見立てた鬼も登場。「鬼は外!」の掛け声とともに豆をぶつけるパフォーマンスも行われた。

» 2009年02月03日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

生き残りをかけたバージョンアップ

青野社長 和服姿で登場した青野社長

 サイボウズは2月2日、同社の主力グループウェア製品である「サイボウズOffice」およびWebデータベース「サイボウズ デヂエ」の最新版を発表。それぞれの新バージョンは「8」となる。同日より販売開始する。

 節分前日ということもあり、発表会場にはサイボウズ青野社長が和服姿で登場。サイボウズ自身「100年に一度の不況」という認識のもとOfficeやデヂエを通じ社員が自発的に業務改善を提案しているという。「今回は生き残りをかけたバージョンアップ」と青野社長は話す。

 今回のバージョンアップの目玉は、両製品の連携強化。Office8のメニューバーにデヂエ8のアイコンが追加(デヂエを利用している場合のみ)され、アプリケーションの切り替えを意識することなく利用できる。またユーザーは購入形態として、Office8の基本的な機能を利用できる「基本セット(10ユーザー/7万9800円〜)」に加え、次の3つから選択できる(デヂエ8は年間10万円から。Office8ユーザーがデヂエを新規導入する場合、50%の割引を受けられる)。


セット名 内容 価格
業務改善セット クレーム管理や商談進捗管理など、部門や課題に合わせてアプリケーションを自由に作れるよう、デヂエ8を利用可能 10ユーザー/12万9800円〜
モバイルセット 「サイボウズ リモートサービス」を利用できる。ユーザーは社内のOffice8へ携帯電話やモバイルPCからアクセスできるようになる 10ユーザー/16万8000円〜
フルセット Office8の機能をすべて利用可能。社内業務を抜本的に見直し、経営判断や業務改善の迅速化を狙うユーザー向け 10ユーザー/30万8000円〜

不況を救うのは「老舗の知恵」と「情報力」そして「チームワーク」

亜細亜大学 経営学部 横澤利昌教授 亜細亜大学 経営学部 横澤利昌教授

 青野社長によると、サイボウズ社内では普段から「チームワーク」をキーワードにしているという。発表会当日は、チームワークの重要性を後押しする形で亜細亜大学 経営学部 横澤利昌教授が講演。「日本に数多い創業から100年以上を経た企業の社訓には、現代経営哲学につながる要素がある」と話す。横澤教授によると、例えば「先義後利(義を先にして利を後にするものは栄える)」という大丸の社訓は、「企業の目的は顧客の創造であり、利潤は成果」というピーター・ドラッカーの言葉に通じるという。「現代経営の理念は、情報が流通しやすいフラットな組織、不足事態への対応能力、チームでの自立的な創意工夫とそれを受け入れる経営陣、といった老舗企業の特徴にこそある」(横澤教授)

 続いて三省堂書店 企画事業部 児玉好史部長が、サイボウズユーザーとしてエンドースメントを行った。

 三省堂書店では、ビジネスドメインが書籍販売に置かれている以上、価格競争での差別化は難しい。そのため、上質なホスピタリティー、専門的な商品知識、スピーディーな対応といったサービス面の向上が求められる。カギとなるのは商品やサービスに関する「情報力」だが、電話やFAXといった手段での情報共有には限界があったと課題を示す。

 このような課題を解決するため三省堂書店では、1999年のサイボウズ Office導入を皮切りに、デヂエ、リモートサービスメールワイズとサイボウズソリューションの導入を拡大。「個人の手帳の中にあった情報が共有され、オペレーションコストが20分の1までに削減された。これはトップダウンで情報共有を命じたのではなく、社員が自発的に始めたこと」(児玉氏)という成果がもたらされたという。

 スピーカーとして最後に登壇したサイボウズ マーケティング部 野水克也部長は「不況を救うのは日本企業のチームワークだ」と話す。横澤教授が取り上げた「日本の老舗企業」を創業100年以上と定義するならば約5万社、創業200年以上だとしても約3100社が存在するという。

 創業200年、という基準で海外市場を見ると、比較的老舗企業が多いとされるドイツでも約800社、オランダで約200社にすぎない。また野水氏によると東アジア諸国、例えば中国、韓国、インドなどはいずれも10社に満たないという(公式な統計はなく、各国研究者による概算)。野水氏は「90年代のバブル崩壊以降、多くの企業が業績を下降させる中、100年以上続く日本の老舗企業の実に77%が横ばい、もしくは右肩上がりの業績を示した」と話す。

横澤教授が紹介する「100年企業の経営哲学」 先の講演で横澤教授が紹介した「100年企業の経営哲学」

 「サイボウズを活用する100年企業は、クボタや凸版印刷、明電舎など500社以上」と紹介する野水氏。究極のEUCともいえる現場でカスタマイズできるシステム、肌感覚に近いUI、メンテナンス不要のセキュリティ管理といった要素で「日本的経営の素晴らしさを証明したい」(野水氏)とした。

発表会の最後には「不況の鬼を追い払う」という趣向で豆まきのパフォーマンスが。ふてぶてしい態度で寝そべる不況の鬼(写真=左、鬼役はパートナー営業部の林部長とのこと。ちょっとかわいそう……)、ボウズマンとともに豆をまく青野社長。逃げる鬼にも容赦なし。趣味は野球というだけあり、豆のピッチングフォームも素晴らしい(写真=中)、めでたく鬼を払ったあとは、巨大な恵方巻きをガブり(写真=右)

関連キーワード

サイボウズ | 不況 | グループウェア | 和風


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ