SAPの共同創設者のハッソ・プラットナー氏は、ソフトウェアを語る際にハードウェアが何をしているかを分かっているべきだと話す。
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SAPは年次カンファレンス「Sapphire 09」を米フロリダ州オーランドで開催している。2日目の基調講演には、SAPの共同創設者のハッソ・プラットナー氏が登場。イベントの目玉となったビジネスインテリジェンス新製品「SAP BusinessObjects Explorer」で重要な役目を担うインメモリ技術を語った。
ソフトウェアを語る際に「ハードウェアが何をしているかが分かっているべきだ」とプラットナー氏は話す。
SAPPHIREで発表されたBI新製品が、分析基盤のハードウェア上でインメモリ技術を採用しているからだ。インメモリ技術は、文字通り、分析処理を従来のディスクアクセスではなく、メモリ上にデータを展開して処理する。メモリ上の処理はディスクに比べてケタ違いに高速であるため、結果として従来とはまったく異なる方法で分析処理ができることを示唆している。
ディスクアクセスを基本とする従来のBIは通常、さまざまなデータソースからETLツールなどを使ってデータを取得する。その上で、日時や製品など分野別に区切ったデータの集合体であるキューブを作成した上で、分析処理をする必要がある。ディスクアクセスの速度は遅いため、関連データを絞って分析しないと処理に膨大な時間がかかるためだ。キューブ作成には専門的な知識が必要になるため、結果として情報システム担当者の手を借りなければ、分析ができない状況を作り出す。
インメモリ技術は、この壁を取り払おうとするものだ。あらゆるソースから成る企業の全データをメモリ上に展開するため、全データに対して分析処理をかけても、分析結果がすぐに返ってくるのである。これにより、情報システムなどの専門担当者がキューブなどの中間データを作成する必要がなくなり、分析の仕組み自体が単純化する。CEOや営業担当部長などのビジネスユーザーが、自分のパソコンやiPhoneなどのツールを使って、最新の財務状況の確認や営業案件獲得状況を確認できるのである。
プラットナー氏は、ハードウェア技術がBIの使い方そのものを変えた例だとしてこれを強調する。「Information at the fingertips!」(指先で情報を扱う)と紹介したスライドには、企業のCEOやCFO(最高財務責任者)をはじめ、営業、生産管理、マーケティング、企業戦略、製品開発など各部門のトップが同じ土俵で、同じデータを参照しながら話し合いをしているのが分かる。当たり前のようだが、多くの企業では、各部門で参照しているデータが微妙に異なることも多く、部門間の衝突などを呼ぶことも珍しくはない。
インメモリだけでなく「必ず8コアのCPUが出てくるだろう」とも話したプラットナー氏。ハードウェアのさらなる可能性を強調する。
「クラウドコンピューティングによってオペレーションコストが安くなるといった話だけでは研究者にとっては面白くない」(同氏)
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