間もなく師走、「仮想化元年」を振り返るe-Day(2/2 ページ)

» 2009年11月25日 08時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 もちろん、どのベンダーも新たなフロンティアを目指している。ゴールドマンサックスでCTOを務めたバーン・ブローネル氏らが2000年に設立したイージェネラは、ハードウェアとソフトウェアを一体化して複雑さを排除し、柔軟な仮想世界を実現している。ストレージにおけるSAN(Storage Area Network)と同じ発想をプロセシングに持ち込めないか、という同社の発想がユニークな「PAN」(Processing Area Network)アーキテクチャーを生んだ。SANはストレージをコンピュータから切り離し、プール化することで、必要に応じてストレージを拡張することを容易にしたり、集約することで無駄を省ける。PANは、同じことをシステム全体でやろうというのだが、やはり肝は「ちゃんとした管理ツール」だ。

Dell PAN Systemが日本市場にも

 イージェネラのPANアーキテクチャーを標準的なIAサーバで組み上げようと考えているのが、デルだ。ライバルのIBMやヒューレット・パッカードが上位のUNIXサーバ製品ラインで、より成熟した仮想世界を既に実現しているのに対して、それを持たないデルはしがらみがない。それだけにかえってやりやすいのかもしれない。

 今春、第11世代サーバを発表した際には、イージェネラからライセンスしているDell PAN Managerについて触れられることはなかったが、ここへきて日本市場にも投入の準備が整ったようだ。

 本家のイージェネラでは、かなり凝ったハードウェアにソフトウェアが一体化していたため、値の張るシステムとなっていたが、そこは「標準化」でPC市場の拡大を牽引してきたデルのこと、エンクロージャとコントローラ役を果たすラックマウント型サーバ2台からなる基本コンポーネントにブレード4枚と2TバイトのDell EMCストレージアレイを組み合わせたスターターパッケージが、1000万円を切る価格で提供されるらしい。14Uというコンパクトなスターターパッケージとはいえ、HAのためのライセンスも含まれており、いきなりミッションクリティカルな業務のためのインフラ構築にも十分耐え得るものだ。

 メインフレームを見れば分かるように、至極当然といえば当然だが、IAサーバにおいても仮想化はシステム全体で考えるべき時がきたようだ。

 2010年を展望したとき、仮想世界がサーバにとどまらず、デスクトップ環境にも波及するとみる業界アナリストは多い。期待される恩恵は、コスト削減やアジリティなど、サーバの仮想化の場合と似通っているが、デスクトップ環境は台数が桁違いに多いため、その仮想化のインパクトは大きい。これについてはまた別の機会に考えてみたい。

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