NTTデータ、クラウドサービス概要を発表

NTTデータは4月から本格展開するクラウドサービス「BizCloud」の概要を発表した。一部サービスは2月から先行して提供する。

» 2010年01月22日 17時36分 公開
[ITmedia]
サービス特徴を説明する山田氏

 NTTデータは1月22日、4月から本格提供する予定のクラウドサービス「BizCloud」の概要を発表した。プライベート型クラウドシステムなどへの移行を支援する一部サービスは2月から先行して始めるという。

 新サービスは、NTTおよびNTTコミュニケーションズと共同開発したサービス基盤を基に提供するパブリック型クラウドサービス「クラウドプラットフォームサービス」と、プライベート型クラウドシステムを中心とした環境の構築や移行支援、運用管理などを提供する「クラウド構築・運用サービス」の2つで構成される。

 代表取締役常務執行役員の山田伸一氏は、「豊富な開発ノウハウを生かし、パブリック型やプライベート型、双方を活用するハイブリット型などユーザー企業が求める形態へ安心できるサービスを提供したい」と述べ、柔軟性のあるカスタマズ対応や、既存システムからの円滑な移行や連係体制の支援などを特徴に挙げた。

 クラウドプラットフォームサービスでは、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)やPaaS(プラットフォームサービス、IaaS(インフラサービス)を中心に提供。システムをサービスとして利用したいユーザー企業や、自社開発のシステムなどをSaaSで他社に販売したい企業などが対象になる。

 大半のサービスメニューは今夏までに順次提供する予定。ビジネスソリューション事業本部長の神田文男氏は、メニュー例としてグループウェアやERP、営業支援、CRM(顧客関係管理)といったアプリケーションサービスなどを紹介。「当社のintra-martのように既に実績のあるフレームワークを活用しながら、柔軟性の高いサービスメニューをユーザーが少ないコストで利用できる仕組みを提供していきたい」と話した。

クラウドプラットフォームサービスのメニュー例

 また、PaaSやIaaSではOracle製品などを活用した同社データセンターのリソースを利用することで、迅速にSaaSビジネスを立ち上げられると説明した。

 クラウド構築・運用サービスは、「最適化コンサルティング」「マイグレーション」「クラウド構築」「運用管理」の4つサービスメニューで構成され、このうち最適化コンサルティングとマイグレーションのサービスを2月に始める。

 最適化コンサルティングのサービスは、ユーザー企業の経営戦略に基づいたシステムの環境の最適化を支援するもので、新規事業や業務最適化、コスト削減といったあらゆるニーズに対応していくという。基盤システム本部長の遠藤宏氏は、「“ITシステム10年の計”という概念でユーザー企業が将来あるべき姿を実現できるようにしたい」と述べた。マイグレーションのサービスは、旧来のIT資産をクラウド環境へ移行させていく支援を全面的に提供するもの。

 クラウド構築・運用サービスでは、システムの特性としてクラウドプラットフォームサービスと同一のスタックを提供する「シルバー」、SLAや拡張性、スタックなどを選択できる「ゴールド」、高可能性を確保した大規模環境を提供する「プラチナ」の3モデルがあり、開発などの環境設定としてLinux、Windows、オープンソースソフトの3モデルを用意する。ユーザー企業がそれぞれの3モデルから1つずつを選んだ形でNTTデータがクラウド環境への移行を支援する。

クラウド構築・運用サービスで選択するモデル

 遠藤氏は、同社がPaaSとして展開可能な検証済みスタックを数多く抱えていることで、業務環境に適用したアプリケーション開発の期間短縮と低コスト化が可能になったと説明。これにより、ユーザー企業ごとに最適化したクラウド環境の導入が容易になる。さらには、プライベート型クラウドのみならず、複数企業や業界ごとをいったコミュニティー型クラウドの構築にも対応するという。

 山田氏は、現時点で新サービスにつながる既存事業の売り上げが数百億円規模になっていると話し、新サービスによって2013年に1000億円規模への拡大を見込んでいる。

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