ソーシャルメディアマーケティングとは、ソーシャルメディアに合った新しい武器を活用して、競合他社を出し抜く戦略と戦術だ。ソーシャルメディアはTwitterの登場以降、マーケティングファネルの中の動きをほぼリアルタイムにデジタル化し始めている。
ソーシャルメディアマーケティングという言葉自体は、実は新しいものではない。ブログやSNSが台頭してきた2006年あたりに、既に存在していたと思われる。だが、2006年時点と現在とソーシャルメディアは、その構造や性格、役目がまるで異なる。2006年のソーシャルメディアが静的な湖であるとすれば、現在のソーシャルメディアは激しい海流が吹き荒れる大海だ。
動画共有サービスではYouTubeが有名だが、日本では動画にリアルタイムにコメントを投げ込めるニコニコ動画が台頭している。世界では、2007年3月に設立された「Ustream(ユーストリーム)」というライブ動画共有サービスが急成長を果たしている。ニコニコ動画とUstreamに共通するのはリアルタイム性だ。特に、UstreamはiPhoneという強力なパートナーを得たことで、動画のリアルタイム配信(ライブストリーミング)のインタフェースとして、非常に強力な存在となった。YouTubeが動画の世界のブログとすれば、Ustreamは動画の世界のTwitterといっても過言ではない。
写真共有サイトではFlickrが代表例だ。だが今は「Twitpic」などTwitterに画像を投稿する補助ツールとして生まれた画像共有サービスの勢いが強い。ここで存在感を示しているのも、TwitterとiPhoneとの組み合わせだ。
従来のソーシャルメディアマーケティングは、こうした古い認識を基に、静的で動きの遅いソーシャルメディアを意識して構築されていた。だが湖と海では生態系が異なり、釣りをするにしてもやり方に工夫が必要とされる。企業が追いかけていくべきなのは、新しいソーシャルメディアに対応したソーシャルメディアマーケティングであることはいうまでもない。
モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。商社にて東南アジアを中心に活躍後、1996年にマレーシアにて独立。帰国後、日立製作所にてイントラブログシステムなどの企画を手掛けた後、サイボウズのネット関連子会社フィードパスのCOOを務める。2008年にモディファイを創業した。著書に『ソーシャルメディアマーケティング』などがある。同書に関連する情報は、Twitter上のハッシュタグ「#smm2010」で共有している
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