未来の産業というとすぐにSFの世界と決めつける人もいそうだ。現実にはあり得ないと否定的になる人が多い。しかし、実際にはほとんどの発明は既に行われていて、ちょっとしたきっかけで新産業が生まれるとしたらどうだろう。
携帯電話やインターネットがそうだった。両方とも基本的なアイデアやそれに関する特許の多くは期限が切れていた。問題は、それらを実現するための機材が高価過ぎただけだ。特定の人たちに利用が限定されているのと、一般の人たちに広く普及するのとでは訳が違う。一般に普及すれば、生産量が急増し、コストは劇的に低下する。
つまり、われわれが今の時代に、「既にあるサービスでいいと思っていても、あまりに高額なため買えないと諦めているモノ」にこそ、未来の産業の源泉が隠されている。そういう立ち位置で見れば、将来は随分違って見える。
今も「ガラスの宮殿」にとどまっている企業の情報システム部門の運命も、この延長線上にある。情報システム部門に属する人たちは、自らが学んで身に付けた知識や技術が、新たな仕組みで一瞬の内に駆逐される可能性があることを考えなければならない。案外、未来の技術はわれわれのそばにある「ICT技術の革新」の中にも隠されているからだ。
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