YouTubeはViacomに反論し、「Viacomは宣伝のために、無断投稿を装って自らテレビ番組をYouTubeにアップロードしていた」と主張している。
「YouTubeは著作権侵害を見て見ぬふりをした」「Viacomは自分でYouTubeに動画を投稿した」――著作権侵害訴訟で争っている米メディア企業ViacomとYouTubeが、法廷文書で互いを非難している。
両社は3月18日、著作権侵害訴訟に関連して裁判所に提出した文書を公開した。この訴訟は2007年、ViacomがYouTubeと親会社のGoogleを相手取って起こしたもの。Viacomは、同社が所有するコンテンツがYouTubeに無断掲載されたとして、10億ドル以上の損害賠償を求めている。
Viacomは、YouTubeは利益のために著作権侵害コンテンツが投稿されるのを意図的に見逃したと主張し、それを裏付ける証拠として、YouTube社内での発言を集めた文書を公開している。この文書によると、YouTube創設者スティーブ・チェン氏は「どんなにあくどい手を使っても、数字を増やすことに力を入れる」「盗め! トラフィックを集める必要があることを念頭に置かなくてはならない。個人のビデオでどれだけトラフィックが集まるというのか」と語っていたという。
またViacomは、GoogleはYouTubeの人気が違法アップロードされたコンテンツによるものだと知りながら同サイトを買収し、侵害行為を続けることを選んだと主張している。Viacomの文書によると、Google Video担当幹部は「他人の知的財産の配信を手助けするのはDon't Be Evil(邪悪にならない)というモットーに反する」と話していたという。また、Googleが著作権侵害を阻止する技術を、コンテンツ供給に応じた企業にしか提供していないことも指摘している。
同社は、GoogleとYouTubeは利益のために侵害行為を助長しており、「著作権侵害の責任を負うべきことは明らか」と述べている。
一方Googleは、YouTubeは権利者からのコンテンツ削除依頼に従っているため、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)のセーフハーバー条項で保護されると反論。また、ViacomはYouTubeを非難しながら、その一方で宣伝のためにひそかに自社のコンテンツをYouTubeにアップロードしていたと主張している。
Googleによると、Viacomは18社もの広告代理店を雇って同社のコンテンツを投稿させた。無断投稿に見せかけるために、画質を粗くしていたという。偽の電子メールアドレスでYouTubeアカウントを開設し、足がつかないようにスタッフにKinko'sから動画を投稿させ、また一般ユーザーが投稿した自社コンテンツも削除依頼せずに残しておいたとGoogleは指摘している。このような「偽装」により、Viacomは自ら投稿したコンテンツを把握できておらず、「実際、Viacomが無断投稿されたと訴状で主張している動画の中には、同社自身がアップロードしたものもある」という。
このような状況から、YouTubeが「どの動画が無断投稿なのかを判断できたわけがない」とGoogleは主張。Viacomが著作権侵害を知りながら、何度もYouTubeを買収しようとしたことも明らかにしている。
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