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» 2010年05月08日 10時00分 公開

ビジネスマンの不死身力:信頼を生む専門知識の伝え方 (2/2)

[竹内義晴,ITmedia]
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日常にありそうな「例え話」を入れる

 説明がうまい専門家は、分かりやすい例えを話に織り交ぜる。難しい専門用語も、日常にありそうなことに例えることで、伝えたい内容が伝わりやすくなる。

 例えば、IT業界では「クラウドコンピューティング」という言葉が注目を集めている。「クラウドには、雲という意味があって……」などと言葉を説明しても、IT業界以外の人には、言葉の意味やイメージが直感的に伝わりにくい。

 そこで、「それはまるで、○○のようなものです」といった例え話を加えてみるのだ。クラウドには、「システムはサービスの提供側が所有し、ユーザー企業はサービスを利用する」という1つの特徴がある。そこに着目すると、レンタカーのビジネスモデルとよく似た構造がある。それを説明に追加してみよう。

 「クラウドとは、まるでレンタカーのようなものです。レンタカーは、レンタカー会社が車を所有し、ユーザーは必要な時に必要なだけ使うことができます。ユーザーは車を持たないので、諸々の経費を削減できます。クラウドも同様に、システムは提供会社が所有し、ユーザーはインターネットを通じて、サービスを必要な時に必要なだけ使う方式です。ユーザーがシステムを持たないので、開発や保守のコスト削減につながります」

 このように、身近な具体例を交えることで、ITに詳しくない人にも直感的な理解を促すことができる。

 今回の例は「システムはサービスの提供側が所有し、ユーザー企業はサービスを利用する」というクラウドの構造に注目した。クラウドの概念は広いため、レンタカーが最適な例え話とは限らないという意見の人もいるだろう。だが、専門用語を難しいと感じている聞き手にとっては、概略を理解することが抵抗感を和らげることにつながる。

 レンタカーに限らず、いろんな例え話を考えてみることで、相手に合わせた伝え方のバリエーションも広がってくるだろう。

専門用語を最後に添える

 専門用語を使いたくなるのは、「自分が専門家であること」をアピールしたい気持ちが働くからだろう。だが、説明の最初に難しい専門用語を使うと、相手に抵抗感を与えてしまう。そこで、専門用語を最後に添える伝え方を意識してみよう。最初は分かりやすく説明をした上で、「ちなみに、これは専門用語で○○と言います」という具合に伝えるのだ。

 先述した「日常にありそうな“例え話”を入れる」場合を例に取ろう。例え話は専門用語で「メタファー」と呼ぶ。もし、何の前触れもなく「このような場合は、メタファーが効果的です。メタファーとは、例え話のことで……」と伝えると、相手は「わざわざ横文字を使うことないのに」と抵抗感を感じてしまう。

 だが、最初に内容の説明があった上で、「ちなみに、例え話を専門用語ではメタファーと呼びます」と言った場合、聞き手はすでに内容の説明を聞いているので、専門用語にさほど抵抗感を抱かないだろう。

 専門用語を最後に添えることで、あなたの専門性をさりげなく相手にアピールできる。聞き手は「なるほど、専門用語では○○というのか。さすが専門家だな」という印象を持つだろう。


 難しい専門知識は、「伝えたいように伝える」のではなく「伝わるように伝える」ことを意識してみよう。あなたが相手の分かる言葉を使って専門知識を伝えることで、相手からの評価や信頼が生まれてくる。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。




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