デスクトップ仮想化がもたらすワークスタイルの未来像Citrix Synergy 2010 Report(2/2 ページ)

» 2010年05月13日 15時37分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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仮想化を支えるセキュリティ強化

 仮想化環境のセキュリティ強化への取り組みとして、テンプルトン氏はMcAfeeとの提携、3月にリリースしたXenApp 6の新たなプラグイン機能、パートナーを組むシンクライアントベンダーのWyse Technologyの新製品を紹介した。

 McAfeeとの提携では、仮想化されたデスクトップおよびサーバのセキュリティ管理を一元化するソリューションの開発を進めている。現状では、仮想マシン上でウイルス定義ファイルのアップデートやウイルススキャンをした場合にパフォーマンスが低下してしまうという課題もあり、管理性やパフォーマンスを高めることが目標になるという。

 XenApp 6のセキュリティ関連プラグインでは、英Sophosのウイルス対策などの機能、仮想アプリケーション上で処理されるデータを暗号化するものを提供する予定だ。XenApp 6を発表した3月時点では、従業員が仮想アプリケーションで自由に選択して利用できる「duzzle」などの新機能を紹介して、利便性の向上を訴求した。今回発表したセキュリティのプラグインは、ウイルス対策や情報漏えい対策を強化する狙いで提供するもの。これにより、利便性とセキュリティの両立を図れるようになったという。

 Wyse Technologyは、CitrixのHDXを採用したシンクライアント端末「Wyse Xenith」を6月から提供する。Wyse Xenithは、「Zero Configuration」「Zero Virus」をコンセプトにしており、ユーザーが端末をネットワークに接続するだけで自動的に仮想デスクトップを利用できるようにした。HDXの採用でデスクトップPCと同等の操作応答性やHDコンテンツの利用を可能にした。

 テンプルトン氏は、最後に開発に着手したばかりの仮想デスクトップの利用シーンとして、トラックの車内での利用を紹介した。この技術はFord MotorとSprintと共同で開発を進めているもので、トラックのダッシュボード部に仮想デスクトップ用のデバイスを搭載する。データセンターにあるデスクトップのイメージをSprintの携帯電話網を通じてトラックへ配信する仕組みで、同氏は携帯電話のサービスエリアであればいかなる場所でも仮想デスクトップを利用できるという方向性を提示した。

将来の利用シーンでは、iPadとデスクトップPCの間で患者の医療情報を共有するデモンストレーションを実施。手術室ではiPad、業務室ではPCにカルテのデータを表示する。業務環境に応じて1つの業務情報をデバイスで使い分ける

 同氏は、「PCで仮想デスクトップを利用するというシーンでは、既に1社で数万台規模を運用する事例が相次いで出現している。今後はデバイスの種類やディスプレイの大きさに左右されることなく、いつ、いかなる場所でも安全にデスクトップを利用できる手段を提供したい」と語っている。

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