使い勝手、コンテンツの双方で改善が進む大学サイト

ゴメス・コンサルティングは大学が運営するWebサイトの評価結果を発表した。1位は関西大学で、大規模な大学サイトにみられる煩雑性を解消し、使い勝手と情報量の充実度において優れた評価となった。

» 2010年07月30日 13時50分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 ゴメス・コンサルティングは7月29日、大学が開設しているWebサイトの使いやすさと情報の充実度を調査した結果を発表した。

 1位は関西大学。利用者を迷わせない簡潔なナビゲーションにより、大学サイト全体をスムーズに回遊できるサイト構造を実現している。従来から幅広い情報を提供しているほか、入試情報サイトをリニューアルするなど、コンテンツを継続的に充実させている点も評価につながった。イベントサイトや付属機関サイトなどが乱立する大規模な大学サイトにみられる煩雑性を解消している。

関西大学のWebサイト 関西大学のWebサイト

 2位は東京農工大学。情報区分に合わせてニュースやイベントの情報を掲載したり、RSSを複数配信するなど、利用者が求める情報にアクセスしやすいサイト構造を作っている。英語版や中国版など、Webサイトの多言語対応が進んでいる点も高評価につながった。

東京農工大学のWebサイト 東京農工大学のWebサイト

 3位は神奈川大学。2009年に実施したリニューアルで、サイト全体が大きく改善された。細部にわたるサイト構造の再構築を行った結果、使い勝手が良くなった。ゴメス・コンサルティングは、教員紹介コンテンツ「神大の先生」が情報量の充実度を印象付ける優れた取り組みと評価している。

神奈川大学のコンテンツ「神大の先生」 神奈川大学のコンテンツ「神大の先生」
総合順位
順位 得点 大学名 2009年度の順位
1位 8.75 関西大学(私立・大阪府) 1位
2位 8.54 東京農工大学(国立・東京都) 5位
3位 8.45 神奈川大学(私立・神奈川県) 49位
4位 8.32 横浜国立大学(国立・神奈川県) 170位
4位 8.32 立教大学(私立・東京都) 2位
6位 8.31 国士舘大学(私立・東京都) 10位
7位 8.27 龍谷大学(私立・京都府) 6位
8位 8.26 東京経済大学(私立・東京都) 138位
9位 8.25 中部大学(私立・愛知県) 3位
10位 8.24 近畿大学(私立・大阪府) 12位

改善が進む大学サイト

 今回は約740大学のWebサイトを調査した。2009年の調査結果の発表から約1年で、3割程度の大学がWebサイトを刷新した。ゴメス・コンサルティングは「Webサイトの品質が向上しており、大学サイトの転換期が続いている」とコメント。上位20サイトのうち、国立大学は4つ(2009年は1つ)を占めるなど、国立大学もWebサイト改善に力を入れていることが分かった。

 上位の大学サイトに共通するのは、(1)Webサイト全体にわたる細やかな使い勝手の配慮、(2)継続的にWebサイトを充実させていく取り組み――という。リンク先にコンテンツの概要説明ページを挿入したり、学生や教授インタビューといった読み物のコンテンツを定期的に配信したりするなど、各大学で工夫がみられた。

 ゴメス・コンサルティングは「デザインなどの独自性を先行するWebサイトが増えているが、Webのアクセシビリティを含む基本的な使い勝手を提供することも、公共性の高い教育研究機関のWebサイトに求められる要素だ」とコメントしている。

 同調査では、大学院大学、短期大学を除く全国約740の大学サイトのWebサイトの使い勝手とコンテンツの充実度を調べた。調査期間は4月1日から7月16日。

調査項目
カテゴリー名称 評価内容
Webサイトの使いやすさ 大学サイトの使いやすさを総合的に評価するカテゴリー。利用者を迷わせないナビゲーション設計、Webアクセシビリティ、情報の探しやすさ、レイアウトの統一性などを評価している。
情報の公開度・先進度 ユーザーにとって有益な情報を公開しているかを評価するカテゴリー。単に情報を公開するだけでなく、公開方法に様々な工夫を施すことで、情報に付加価値をつけようとする大学の試みを、サイトにおける「先進性」として評価している。


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