IT資産管理の課題は企業のモバイル化とグローバル化、LANDeskが取り組み表明

LANDeskは投資会社のThoma Bravoの傘下となり、PCやサーバ、モバイル機器の統合管理を実現するソリューションの展開を強化する。

» 2010年08月25日 07時11分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 投資企業の米Thoma Bravoは米EmersonからLANDesk Softwareを買収することで合意に達した。買収の背景や今後の事業戦略について、LANDesk Softwareアジア太平洋地区担当バイスプレジデントのアンドリュー・ルース氏と日本法人社長の高崎道明氏が説明した。

 高崎氏によると、今回の買収は同社の成長を加速させるために資本の強化を図るものという。経営体制や社員の雇用、パートナー関係、ビジネスモデルの大きな変更はなく、Thoma Bravoによる経営支援を受けて、同社が主力とするIT資産管理やセキュリティ管理などのビジネスを拡充する。買収完了は9月末の見込み。買収金額は非公開としている。

 同社が今後の重点分野に位置付けるのが、モバイルを含めたIT資産の統合管理の実現と企業のグローバル化の支援だ。ルース氏によれば、企業ではPCの管理に加えてスマートフォンに代表されるモバイルデバイスをどのように管理していくかが課題になり始めた。また、グローバル化の動きは特に日系企業で加速している。こうした課題に対処できるソリューションが求められているという。

アンドリュー・ルース氏(左)と高崎道明氏

 「企業で使われるPCは世界に約5億台があるとされ、モバイル機器の普及でインターネットにつながる端末が10年後は10倍になるとみられる。企業ではPCや社員が持ち込むモバイル機器を一元管理したいというニーズが高まっている」(ルース氏)

 近年はモバイル機器のインターネット接続が広まり、海外ではPCとモバイル機器をビジネスに活用する動きが進む。PCについては管理手法が確立されているが、社員のモバイル機器は多種多様なOSやハードウェアが存在し、これらを包括的に管理する手段がないという。

 個人所有のモバイル機器であっても、ビジネスで利用するには企業でも機器の所有者やセキュリティの状態を適切に管理しなくてはならない。このためのソリューションを開発していく上では、Thoma Bravoによる資本強化が不可欠だとしている。

 一方、企業のグローバル化でもIT資産管理の重要性が高まりつつある。高崎氏は、「製造業を中心に日本からアジア各国に進出する企業が非常に増え、日本のIT部門で世界各地のクライアントを管理できるようにしたいというニーズが高まっている」と話す。

 このため日本法人では、Thoma Bravoによる買収を受けて韓国市場の事業運営も担当するほか、中国やインド、東南アジアに進出する日系企業の支援を強化していくという。同社では今年2月時点でこうしたニーズを取り込むことにより、年率15%の成長を目指すとしていたが、これを20%に上方修正した。

 ルース氏によれば、LANDesk全体でも2008年以降で年率20%の成長を継続しているといい、ソリューションの強化でこの成長がさらに加速されるだろうと話す。「当社はパートナーと一体で、ユーザー企業の投資効果を最大化させるための支援に注力している。新たなソリューションがユーザーの課題を解決し、当社やパートナーの成長にも貢献することを期待したい」(ルース氏)

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