クラウドビジネスでどのように儲けていくかオルタナティブ・ブロガーの視点

クラウドビジネスの市場規模は拡大する見込みだが、すべての事業者が儲かるわけではない。では、儲かる事業者になるためにはどうすればよいのでしょうか。それには、従来のSIビジネスと、クラウドビジネスの収益のバランスを取ることだろうと、オルタナティブ・ブロガーの林雅之氏は考えました。

» 2010年10月19日 18時20分 公開
[林雅之,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「『ビジネス2.0』の視点」からの転載です。エントリーはこちら。)

 IDC Japanが9月28日に「国内クラウドサービスの市場予測」を公表し、2014年の市場規模は、2009年比4.9倍、1534億円と予測しています。市場の急速な成長を素直に見ると、クラウドビジネスで今後大きなビジネスチャンスが生まれ、大きな収益を得ることができると、考えることもできます。

 ITmedia エンタープライズの記事「クラウドビジネスは儲かるか」では、有力事業者のキーパーソンが、クラウドビジネスの収益について、売り上げ目標は設定しているものの、収益確保は未知数としており、収益を確保していくためのビジネスモデルを考えていく必要があるといった認識を示されています。

 クラウドビジネスの展開においては、ユーザーが「保有」から「使用」に変化していく一方、提供事業者側は、データセンターへの投資など、クラウドビジネスを展開していく上で、大規模な投資が必要となります。当然、大規模な投資が必要となれば、ビジネスとしてのチャンスもあれば、大きなリスクも生じる可能性が考えられます。

 記事の最後は、こう締めくくられます。

ITサービス事業を生業としてきた企業にとっては、もはや儲かるかよりも儲けるためのクラウドビジネスモデルをどう構築し推進していくか、その経営判断と覚悟が不可欠な段階に来ているといえそうだ。

 クラウドビジネスの展開においては、仮想化や分散処理などの技術面を強みにしていくというのは当然あるものの、いかに魅力的なサービスでエンドユーザーに利用してもらい、シェアを拡大させ、収益を得るためのビジネスモデルを構築できるかが、鍵となります。

 そのためには、事業者同士の提携もあれば、買収もあるでしょう。クラウドビジネスの成功には、事業への積極的な投資と規模の経済(スケールメリット)が大きく左右します。そのため、国内の市場だけでなく、海外市場にもクラウドビジネスを展開し、事業規模を拡大させていくことが必要不可欠となります。

 クラウドビジネスは規模の経済が働くため、シェアを確保できた事業者とそうでない事業者とで、市場においての勝者と敗者の優劣がはっきりするケースが考えられます。クラウド市場が急速に拡大するからといって、すべての事業者がその恩恵を受けられるわけではありません。当然、SI事業者にとっては、これまでのSIビジネスからの移行も一部進み、従来のSIビジネスと、クラウドビジネスの収益のバランスをとっていく必要もあるでしょう。

 いずれにしても、クラウドビジネスの推進にあたっては、時代の流れに即した迅速な経営判断がますます重要となってきているのかもしれません。

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