企業価値を向上させるIT基盤構築

SaaS型帳票サービスはビジネスに何をもたらすか日本でSaaS型CRMを使うには

現在、SaaS型CRMを利用している企業は少なくないだろう。だが、日本企業に根強く残る「帳票」との相性は必ずしも良いとは言えない。日立ブレーンの事例から、帳票を効率化し、ビジネススピードを向上する方法を探る。

» 2010年10月22日 08時00分 公開
[ITmedia]

(このコンテンツは日立「Open Middleware Report vol.52」をもとに構成しています)

日立ブレーン 営業本部 佐藤裕美 氏

 ダイレクトマーケティングを専門とするソリューションプロバイダーの日立ブレーンは、顧客データベースの構築、入力、維持管理を中心としたデータベースマーケティングをはじめ、販売促進の企画実践、DM(ダイレクトメール)の企画制作、発送代行、そしてコールセンターの運営とテレマーケティングの実践、各種調査業務の受託、Webマーケティングのコンサルティングやコンテンツ制作まで、幅広いサービスを展開している。

 同社営業本部の佐藤裕美氏は、このビジネスの特長を次のように話す。

 「多彩なマーケティングに関するノウハウを自社内で網羅的に所有していることが、日立ブレーンの最大の強みです。“売れる仕組み”を求めるお客さまの課題に対して、さまざまなソリューションやツールを有機的に組み合わせた最適なソリューションを提案し、プラスアルファのバリューを実現しています」

 非対面によるマーケティング業務を日立ブレーンにアウトソーシングすることで、クライアント企業の担当者は対面営業により多くの時間やパワーを割けるようになるなど、業務を効率化できるという。

Salesforce CRMと一体化した帳票サービス

日立ブレーン CRMサービス本部 マーケティングソリューション部 IT基盤グループ グループ長 峯島英之 氏

 こうした日立ブレーンの対応力の源泉となっているのがCRMのノウハウだ。同社は、2007年にセールスフォース・ドットコムのSaaS型CRMサービス「Salesforce CRM」を導入するなど、サービス体制強化に取り組み続けている。

 CRMのデファクトスタンダードとも言えるSalesforce CRMだが、実際の業務にそのソリューションを適用していく上では、機能面での物足りなさを感じるケースもあるという。

 特に日本企業の中でしばしば浮上するのが、帳票の問題だ。業務ニーズに合ったきめ細かな帳票を用意するには、Salesforce CRMのデータをいったんExcelへインポートして個別に加工を行うなど、煩雑なカスタマイズが必要になる。

 こうしたSalesforce CRMと帳票の間にあるギャップを埋めるべく、日立ブレーンが導入したのが、日立のSaaS型帳票サービス「帳票スクエア」である。

 同サービスは、2010年6月より提供が行われているもので、ユーザーは帳票スクエアのWebサイトにアクセスし、自社の業務に合った帳票フォーマットを選ぶだけで、すぐに利用できることを特長としている。また、「帳票スクエア―Salesforce接続スクリプト」を利用することにより、帳票スクエアの各種ボタンをSalesforce CRM上に登録し、1クリックで印刷を実行するなどシームレスな操作が可能になる。

 日立ブレーン CRMサービス本部マーケティングソリューション部 IT基盤グループのグループ長を務める峯島英之氏は、この帳票スクエアの導入に至った経緯を次のように語る。

 「帳票スクエアには、注文書や請求書といった100種類以上の帳票フォーマット(テンプレート)がすでに用意されており、日立では近いうちに1000種類までバリエーションを増やしていく計画と聞いています。また、会社のロゴを入れ替えたり、請求書の文言を追加したりといったカスタマイズも容易に行えるほか、罫線や印字位置の設定など、日本企業ならではの帳票への高い要求に応えることができます。さまざまなソリューションを検討しましたが、帳票フォーマットの種類や柔軟性といった点で、帳票スクエアを上回る製品はありませんでした」

代理店とのスムーズなビジネス連携を実現

日立ブレーン 営業本部 部長代理 長谷川大 氏

 日立ブレーンでは、クライアント企業に対する支援ツールとしてはもちろん、自らの業務効率化のためにも帳票スクエアの利用を拡大している。

 同社営業本部 部長代理を務める長谷川大氏は、このように話す。

 「われわれは代理店との間で、見込みクライアントのフィルタリングを行ったり、提供したサービスの満足度を分析するなどして、Salesforce CRMを用いたさまざまなデータを共有しています。また、そうした営業支援活動の過程では、必ず見積書や注文書などの帳票が発生することになります。帳票作成の負担を削減することで、代理店とのスムーズな連携を図ることが可能となるのです」

 今後の展開について、峯島氏は「現時点では帳票スクエアに最初から用意されているフォーマットや、帳票デザイン代行サービスによって調達したフォーマットを主に利用していますが、Webブラウザでのシンプルな操作で簡単にカスタマイズできるのも帳票スクエアのメリット。社内でも積極的にテンプレートを拡充していく考えです」と前向きな姿勢を示している。

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