トレンドマイクロが法人向け事業で新戦略――クラウドセキュリティで存在感を

トレンドマイクロは法人向け事業の戦略を発表し、クラウドセキュリティの分野で「情報保護」を実現する製品やサービスを展開すると表明した。

» 2011年03月25日 07時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
エバ・チェン氏

 トレンドマイクロは3月24日、法人向けビジネスに関する戦略説明会を開催した。エバ・チェン社長兼CEOは「ネットワークの境界で対策を講じる従来の方法を変えていく必要がある」と語り、クラウド時代に即したセキュリティ企業を目指すと表明した。

 チェン氏は、企業で取り扱われるデータ量の爆発的な増加や、モバイル機器の普及に伴う企業ITのコンシューマー化を背景に、クラウドを介したデータの分散利用が進むと述べた。クラウドセキュリティでは、特にデータ本体を適切に保護するアプローチが重要になるとしており、クラウドインフラとデータ保護の両面で製品やサービスを推進していく考えを明らかにした。

 クラウドに対応した製品は、既に幾つか提供している。インフラ向けには、2010年に「Trend Micro Deep Security」をリリースし、物理および仮想サーバに対する不正アクセスの阻止やWebアプリケーションの保護、ログ監視など機能を提供。情報漏えい対策では「Trend Micro Data Loss Prevention」を投入している。

 これらに加えて2011年は、モバイル機器の管理やセキュリティ対策を行うための「Trend Micro Mobile Security」や、ネットワーク上での情報漏えいを検知する「DLP Network Monitor」、クラウド上の情報資産を保護する「Trend Micro Secure Cloud」などをリリースする予定。また、これらのセキュリティ製品を統合管理する仕組みを強化していくという。

大三川彰彦氏

 なお、同社単独では提供が難しいセキュリティ対策機能はパートナー各社との連携で対応する。ファイアウォールやIPS関連では米Cisco Systems、ID管理ではMicrosoft、分散型サービス妨害(DDoS)対策やインフラ管理では米IBM、仮想化では米VMwareおよびCitrix Systemsと提携している。

 具体的な事業展開について、大三川彰彦取締役エグゼクティブバイスプレジデントは、システムサービス企業やクラウド事業者との協業強化、パートナープログラムの推進を挙げた。営業担当者と技術者で構成するクラウド事業の専任組織も新設した。

 大三川氏は、「既にこれらの取り組みを始めており、パートナー各社の期待は高いようだ。クラウドセキュリティの分野でナンバー1を目指したい」と語っている。

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