国連が、インターネットへの接続は基本的人権であり、これを阻む行為は国際法に違反すると主張する報告書を発表した。
国連は6月3日(現地時間)、国家がインターネットを遮断するのは人権侵害であり、国際法に違反するものだとする報告書(リンク先はPDF文書)を発表した。おりしも政情不安のシリアでは、全国規模でインターネットが使えなくなっていた。
国連人権特別報告官を務めるフランク・ラ・ルエ氏は「個人が情報を迅速に広めたり、組織化したり、世界中に不平等な状況を知らせることができるというインターネットのユニークな機能は、政府に恐怖をもたらしている」と述べ、報告書で「インターネット上の特定のコンテンツにユーザーがアクセスできないようブロックしたり、フィルタリングするだけでなく、インターネット全体へのアクセスを遮断する手段を講じた国家がある。インターネットへの接続を遮断することは、たとえ知的財産権侵害などの理由で正当化しようとしても、市民的および政治的権利に関する国際規約に違反していると報告官は考える」としている。
米データ分析会社Renesysによると、3日の現地時間の6時35分〜22時の間、原因は不明だが、シリアの3分の2のネットワークがインターネットから遮断されていたという。シリアではアサド政権に対する反政府デモとそれに対する弾圧が続いており、3日には国連の潘基文事務総長がシリアでの人権侵害に懸念を表明し、シリア当局による暴力的な弾圧は直ちにやめるべきだと主張した。
2010年末ごろから中東各地で広がっている反政府運動でインターネットが果たしている役割は大きいとみられており、エジプトやリビアでもネット遮断が行われた。
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