SAP、ERP 6.0の保守期限を2020年まで延長、機能拡張の施策も変更へ

SAPジャパンは「SAP ERP 6.0」の保守期限を従来の2015年から2020年に変更した。「SAP Business Suite」での拡張機能の提供方法も変更する。

» 2011年11月17日 18時21分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 SAPジャパンは11月17日、業務アプリケーションスイート「SAP Business Suite」の機能を拡張するパッケージ「SAP enhancement package(EhP)」の提供と、SAP Business Suiteの中核ソフトの1つ「SAP ERP 6.0」の保守期限を2020年に延長することを発表した。

 EhPは、SAP ERP 6.0やCRM、PLM、SCM、SRM(それぞれ7.0)に新機能を追加するためのパッケージで、今回はSAP ERP 6.0向けが「EhP 6」、CRM、PLM、SCM、SRM向けが「EhP 2」としてリリースされる。業務領域や業界に応じて複数のソリューションメニューが用意され、ユーザー企業は自社に必要なメニューを選んで、EhPを導入・適用する形となる。

 業務領域のメニューでは「コモディティ商材(一般化する過程にある商材と同社では定義)」に関わる調達から販売、リスク管理に必要な機能を追加する「SAP Commodity Risk Management」、業界別ではリース業界向けに契約管理や顧客管理、会計機能などを提供する「SAP Leasing for Banking」、電力関連業界向けにスマートメーターを活用した事業に必要な機能を提供する「SAP Advanced Metering Infrastructure for Utilities」「SAP Customer Relationship Management and Billing for Utilities」などをラインアップしている。

松村浩史センター長

 従来、同社はEhPを1年から1年半おきのサイクルで提供してきたが、今後は一部の新機能を四半期ごとに先行して提供する方針を明らかにした。EhPとしての提供サイクルは従来通りだが、「ユーザー企業から要望の強い新機能について、信頼性と安定性をきちんと伴う形で提供できるようにした。ユーザー企業が新機能をすぐに導入して収益につなげられるよう支援する」(ソリューション統括本部 ソリューション&カスタマーイノベーションセンターの松村浩史センター長)という。

 またSAP ERP 6.0の保守期限も従来の2015年から2020年に延長した。松村氏よれば、この方針変更もユーザー企業から強く求められていたもの。SAP本社の開発陣が将来の技術動向予測から現行バージョンでもEhPの活用で、十分に対応できると判断したとしている。

 「ERPは企業の基幹システムであり、中長期的な経営戦略に基づいて運用されるため、ユーザーから今後どうなるのかを知りたいという要望があった。技術の発展を予想するのは難しいが、EhPや新機能の提供プロセスを確立したことで、大きな技術変革があっても追従できる」(松村氏)

 同社はインメモリデータベース技術「SAP HANA」の展開を進めている。例えば、SAP ERPとSAP HANAの連携で収益性分析の処理時間を大幅に短縮できるが、ユーザー企業がこの連携のためにバージョンアップなど特別な対応を迫られることを心配する必要はないようだ。

 今後、具体的にどのような新機能を提供するのか、また、SAP Business Suiteの開発方針などについては2012年以降に明らかにするとしている。

SAP Business Suiteのenhancement packageで提供される主な新機能(左)。今後の保守期間

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