既存よりも「新規」 日本オラクルが新年度の戦略説明

日本オラクルが事業戦略説明会を開いた。今年度のキーワードは「Simplify IT」と「Unleash Innovation」だとした。

» 2012年07月11日 19時20分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本オラクルは7月11日、記者およびアナリスト向けに2013年度の事業戦略説明会を開催した。停滞する日本経済、低迷する日本企業に対して、同社の遠藤隆雄社長は「今こそ新しい技術をベースにしたイノベーションを起こさなければならない」と力強く語った。

日本オラクルの遠藤隆雄社長 日本オラクルの遠藤隆雄社長

 調査会社の英Economist Intelligence Unit(EIU)が2011年に発表したレポートによると、全世界の経済成長における3分の2は新興ビジネスからもたらされていると予測。中国やインドの成長に陰りが見えたとはいえ、BRICsを中心とした新興国市場の経済発展はしばらくは続くとみられる。「今後、企業が成長するには“既存”のビジネスや市場、技術ではなく“新規”に着目すべき。そのためには、新しいテクノロジーをベースにしたイノベーションが不可欠なのだ」と遠藤氏は意気込む。

 新興市場をけん引し、新しいビジネスを作り出す企業の特徴として、遠藤氏は「ワークスタイルの変革」と「情報活用」の2つを挙げる。特に前者については、自社で革新的な発想の人材を確保するような、グローバル規模でのタレントマネジメント(社員の能力やスキルの管理)が重要だとしている。実際、オラクルでは人材管理クラウドのTaleoを買収するなど、同分野の強化を図っている。

 そうした中、オラクルは新たな事業戦略として「Unleash Innovation(イノベーションを解き放つ)」というキーメッセージを打ち出している。これまで同社では、ハードウェアとソフトウェアを統合した主力製品であるエンジニアド・システムを軸に「Simplify IT(ITの簡素化)」をメッセージとして繰り返し強調してきたが、今年度はこの2つを掛け合わせて、顧客企業や市場に働きかけていく。

「多くの日本企業では、ITシステムを導入したら瞬時にビジネス効果を生み出すようなスピード感が求められている。こうしたイノベーションを実現するにはシンプルなITが前提になるのだ。導入を決定して数年後に出来上がるようなシステムはもはや不要である」(遠藤氏)

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