NECが社内向けクラウド型ソフト開発環境を事業展開へ、海外向けや外販サービスを計画

NECが社内で運用するクラウド型ソフトウェア開発環境のユーザー数が1万人を突破したという。これを機に海外展開や外販を計画している。

» 2012年09月27日 16時24分 公開
[岡田靖,ITmedia]

 NECは9月27日、社内およびグループ企業や協力会社向けに提供しているクラウド型ソフトウェア開発環境「ソフトウェアファクトリ」のユーザーが1万人を突破したと発表した。今後、海外展開やサービスとしての外販を計画しているという。

 「ソフトウェアファクトリ」は、ソフトウェア開発に必要なツール、プロジェクト管理のシステム、ハードウェアやネットワークリソースなどをクラウドサービスとして内部関係者向けに提供している。ソフトウェア生産革新を目的に2009年度から導入しており、2012年度上期にユーザー数が1万人を突破したとのこと。今後は2015年度末に3万人、ソフトウェアファクトリに参加可能なNEC関連の開発者全員が利用することを目標にしている。

 NECによれば、ソフトウェアファクトリでは開発プロジェクト立ち上げ時のリードタイムが最短で2時間、カスタマイズして利用する場合でも2日程度となる。案件ごとに開発環境を構築する場合と比べて期間が10分の1から100分の1に短縮され、プロジェクト期間の短縮とコスト削減に貢献するとしている。また、ソースコードの検証機能もあり、バグや脆弱性、オープンソースのライセンス違反などの有無などを開発中のソースコードに対して自動的に検証する。これにより、レビューの効率化やリスク低減にも寄与するという。これまでの実績では製造・テスト工程でのコストが10〜20%低減されたとのことだ。

 ソフトウェアファクトリの利用自体は、同社のソフトウェア製品開発部門から始まり、業務アプリケーションや組み込み系の開発へと適用範囲を拡大してきた。複数拠点にまたがる開発プロジェクト、あるいはNECとグループ会社、協力会社などとの共同開発案件にもソフトウェアファクトリを使うことで、同一の基盤を共有し、ツールや手法の違いを解消できる。プロジェクトの進行状況なども、標準化した指標がソフトウェアファクトリに用意され、プロジェクト管理の精度が向上するという。

(左)ソフトウェアファクトリのシステム構成。東日本と西日本のデータセンターに配置され、相互バックアップを行うことで災害への耐性を高めている。(右)ソフトウェアファクトリの外販計画
山元正人常務

 今後はソフトウェアファクトリを海外展開して同社のグローバルビジネスに活用するほか、外部向けのクラウドサービスとしても提供を予定する。グローバル展開は、10月にまずインドのデータセンターで稼働を開始、中国では2013年の予定だ。北米や欧州、南米にもソフトウェアファクトリの運用拠点を設けて、「グローバル5極」体制を目指す。

 外販計画について執行役員常務の山元正人氏は、社内向けに設定している費用を参考に外部向け価格を設定し、2013年度から提供を開始する予定だと説明した。「例えば、組み込み分野ではハードウェアの機能をファームウェアで実装する傾向が強まっている。今後、多くの分野でソフトウェア開発量が急激に増加するだろう」と話し、こうした背景から、品質向上やコスト削減が可能なソフトウェア開発基盤の提供に本腰を入れるとした。

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