2008年にデビューした当初は、データウェアハウス向けとして登場したExadataだが、その後、OLTP(オンライントランザクション処理)やほかのアプリケーションにも最適化が図られてきた。基調講演でルイーザ氏からステージに招き上げられたPayPalは、このExadataを大規模なOLTPに活用する。同社は、オークションサイト最大手、eBayの子会社。1億以上のユーザーにメールアカウントを利用した安全な決済サービスを提供しており、利用できるオンラインショップは900万店に上る。
「既存システムの10倍のパフォーマンスで、なおかつ100%のアップタイムが求められたが、わずか60日でパイロットから本番稼働まで漕ぎ着けることができた」と話すのはPayPalのナット・ナタラジャン副社長。
前日夕方、オープニングの基調講演でOracleのラリー・エリソンCEOは、インメモリ技術を導入したExadataのバージョン3、「X3」を披露し、Engineered Systemsの強化に拍車が掛かる。
エリソンCEOが「Database In-Memory Machine」と呼ぶX3は、4テラバイトのDRAMと22テラバイトのフラッシュキャッシュを搭載し、それぞれ40テラバイトと220テラバイトの圧縮データを利用頻度に応じて格納し、桁違いのパフォーマンスを叩き出す。SQLのランダムリードを秒当たり150万も処理でき、「これまでなら150のアレイ、1万5000のディスクが必要だった」(ルイーザ氏)という。また、ソフトウェアの改良により、フラッシュキャッシュへの書き込みも可能となり、旧Exadataと比較して20倍の高速化を実現している。
ExadataはOracleが推進するクラウドの基盤ともなる。2つの事業は不可分であり、今後の同社の成長を加速する車の両輪といえる。
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