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» 2012年10月23日 08時00分 公開

モバイルワーク温故知新:【最終回】時代は「ポストモバイル」、そして「ノマド」へ (4/5)

[池田冬彦,ITmedia]

モバイルルータの普及とワークスタイルの変容

 モバイル通信のインフラが拡充し、オフィスや家庭外でのインターネット利用が当たり前になってくると、「ノートPC+通信モデム端末」というスタイルでは何かと不便な状況が生じてきた。当然ながら通信モデムでは1台のPCしか利用できない。ゲーム機やiPhone、iPadなど複数の端末でのインターネット利用には対応しない。

 この問題を解決するべく登場したのがモバイルルータだ。既に利用している人にとっては説明の必要はないだろうが、要するに、3G回線やWiMAX回線を無線LANで共有し、ノートPCや小型デバイスを無線LANで接続してインターネット接続を行うための機器だ。これなら無線LAN対応のどんな機器でも屋外で使える。

 初期のモバイルルータは、2008年頃に登場した。例えば、2008年10月に登場したCradlePoint製の無線LANルータ「PHS300 Mobile WiFi AccessPoint」などが代表的な機種だ。PHS300は3G通信機能を持たず、USB端子を介して通信モデムを接続して利用する。ただし、対応する通信モデムは限られており、具体的にはイー・モバイルのUSBタイプの通信モデムを利用する。

 ただし、モバイルルータの認知度を上げるきっかけになったのは、イー・モバイルのモデム内蔵型(一体型)のモバイルルータ「D25HW」(Pocket WiFi)だ。これ以降、一体型の製品が主流となり、他の通信事業者やメーカもこぞってモバイルルータ製品を市場に投入した。ちなみに「D25HW」は2011年6月に出荷台数が100万台を突破する大ヒット製品となった。

PHS300 Mobile WiFi AccessPointは1万9800円で販売された(通信モデムは別売)。右はモバイルルータブームの火付け役となった「D25HW」

 モバイルルータ利用のメリットは、自分の居る場所がどこでも無線LANスポットになるということだ。ノートPCのみならず、スマートフォンやiPadなどのタブレット端末を同時に使えるため、利便性は非常に高い。これなら、お気に入りのカフェや出張先のオフィスやレストラン、ホテルなど、どんな場所も「自分の仕事場」に早変わりする。

 3G回線を使うモバイルルータのほか、WiMAX対応ルータや後述するLTE対応ルータなど、今ではさまざまな高速回線を使って、快適な「自分専用の」無線LANスポットが構築できるようになり、一昔前のADSLを凌駕する快適な「移動オフィス」が現実のものとなっている。

 今や「モバイル」という言葉は過去のものとなり、いつでもどこでも、腰を落ち着けた場所が仕事場という「ノマド(=NOMAD:遊牧民)ワーク」が現代の最先端のワークスタイルとして定着しつつある。これは、高速なモバイル回線と小型・軽量で処理能力の高いUltrabookなどのノートPC、そして、高機能なモバイルルータによって現実的なものとなった。

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