ビッグデータで「心を察したおもてなし」、Facebookのソーシャルグラフをマーケティングに生かすニッセンTeradata PARTNERS 2012 Report(2/2 ページ)

» 2012年10月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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万にひとつかふたつの鉱脈をいかに素早く発見するか

 とはいえ、ソーシャルメディアの分析にはまだまだ課題も多い。将来は、ソーシャルメディアへの書き込みをトリガーにした、いわゆるイベント・ベースド・マーケティングへの段階的な応用を視野に入れているが、露骨なアプローチは会員顧客の感情を害しかねない。

 また、ソーシャルメディアの分析には多くの期待が寄せられているが、ビッグデータから価値を引き出し、ビジネスの成果につなげていくためには人的なリソースや情報システムへの投資が大きな負担となる。Facebookのデータはそのままではほとんど使えないからだ。

 同社のIT企画室でアーキテクトを務める横手慎一氏も、「先行事例もなく、投資効果を明確に説明できない中、万にひとつかふたつの鉱脈をいかに素早く発見できるかが重要になる。IT部門としては、Facebookからの非構造化データの取り込み、テキストマイニングによる構造化、そして抽出キーワードを基にしたスコアリングといった一連の処理を迅速に行えるようにすることで、可能な限りコストを抑制していくことが求められる。Teradataのスピードは大きく貢献してくれている」と話す。今後は多構造化データの分析に優れた性能を発揮するTeradata Asterの導入も検討していくという(下のフロー図を参照)。

 ニッセンにおけるソーシャルグラフ情報の活用は、プライバシーにかかわるリスクについても社内で議論を重ねながら慎重に進められているが、短期的にも売上増加という成果に現れ、中期的にはブランド力向上と忠誠心の高い顧客の獲得につながると柿丸氏は信じている。

 「今、企業はソーシャルメディア分析から価値を引き出すための戦略的な投資を迫られていると言っていいだろう」(柿丸氏)

ニッセンにおけるFacebookデータ活用のフロー
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