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» 2013年06月26日 08時00分 公開

「モノ申す」自治体の情シス:クラウドから始まった足立区のシステム最適化物語(後編) (1/3)

プライベートクラウド基盤を独自に構築した足立区。基盤を稼働させた今も情報システム最適化の道のりは、まだ半ばだ。後編では業務アプリケーション最適化の取り組みやクラウド構築に伴うコスト効果などを紹介する。

[國谷武史,ITmedia]

 2008年からクラウド構築の取り組みをスタートした東京・足立区は、計画した3つのクラウド基盤「内部業務基盤」「学校教育基盤」「基幹業務基盤」のうち、基幹業務基盤以外の2つの基盤でこの春から本格稼働を開始した。前編ではその基盤構築における取り組みを紹介したが、後編となる本記事では現在推進中の業務アプリケーションの最適化の取り組みやクラウド化による効果、人材面での課題などを取り上げる。

足立区CIO補佐監の浦山清治氏と情報システム課長の秦彰雄氏、システム最適化担当係長の保志野広氏、野田真氏(左から)

同時並行でスタートした業務アプリの最適化

 足立区における情報システム最適化への取り組みは、基盤の共通化だけでも実に5年近い歳月を費やしている。今後の最適化の焦点になってくるのが、基盤の上で稼働する業務アプリケーションだ。CIO補佐監の浦山清治氏は、「今までハードウェアとソフトウェアをそれぞれ5年ごとに更改していましたが、ハードウェアを共通基盤化したので、あとはソフトウェアだけになります」と話す。

 ここでは「パッケージソフトからの脱却」という大きなテーマを掲げている。情報システム課長の秦彰雄氏によれば、業務アプリケーションもバージョンアップへの対応などを考慮すれば、5年ごとの更改が必要になるといい、パッケージソフトをベースにカスタマイズを加えて導入していた。システム最適化担当係長の保志野広氏らが中心になり、現在この“慣行”を変革する取り組みを推進している。

 業務アプリケーション最適化での重要なポイントが、前編で触れた浦野氏による3つの改革の1つ「業務の改革」におけるビジネスプロセスマネージメントだ。この観点のもと、「BPMN(Business Process Modeling Notation)」と「BPMS(Business Process Management System)」の実現がゴールだという。

 そのために保志野氏は、基盤共通化の取り組みと平行して「主管課」(ユーザーとなる区の業務部門)の現場にも赴き、そこでの業務フローをDMM(Diamond Mandala Matrix:機能分析表)に取りまとめる作業を進めてきた。その成果をもとにBPMNによるプロセスベースのアプリケーションを開発していけるようになる。こうすればユーザーの主管課も開発するベンダーも、アプリケーションを理解しやすくなるメリットとも生まれるという

「可視化された業務プロセスは主管課でも引き継いでいけます。この仕組みが機能するようになってようやく1年が経過しました。これからのシステム更改はこちらが主流になるでしょうが、全てのシステムに広がるには、まだ何年もかかると思います」(浦山氏)

 また、後述するクラウド構築によるコスト削減などの効果にもつながると期待されている。

 というのも、パッケージソフトの業務アプリケーションにはどうしてもカスタマイズが伴う。しかし、カスタマイズすべき部分をベンダーが事前に把握するのは、自治体側から提示された仕様書を見ても難しい。予算化された後にカスタマイズによって追加コストが発生しても、当初の予算を上回ることはほとんど認められない。それを避けるためには、事前に高めの見積りをせざるを得ないのが実態だからだ。

「業務プロセスが可視化されていれば、最初の段階からパッケージで対応できる部分と作り込む必要のある部分が分かるので、見積りを適正化できるでしょう。制度改正などにも、もっと柔軟に自分たちの手でも対応していけるようになると思います」(秦氏)

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