レッドハット、OpenStackベースのクラウド基盤ソフトをリリース まずはアーリーアダプター向け

RHELベースでクラウド基盤を構築するユーザーと、既存環境にOpenStackベースのクラウド基盤を組み合わせていくユーザー向けに、2つのラインアップを展開する。

» 2013年07月23日 15時22分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 レッドハットは7月23日、クラウド基盤向けのオープンソースソフトウェアであるOpenStackをベースにした商用版ソフトウェア「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」と「Red Hat Cloud Infrastructure」の国内提供を開始した。

 Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformは、Red Hat Enterprise Linuxを用いて、新たにOpenStackベースのクラウド基盤を構築するユーザー向けソフトウェアと位置付ける。一方、Red Hat Cloud Infrastructureは、既にVMwareやMicrosoft Hype-V、AWSなどの基盤を導入済みで、これにRed Hat Enterprise Linux OpenStack Platformによるクラウド基盤も構築していくというユーザー向けに提供するという。

OpenStackベースのクラウド基盤ソフトウェア

 Red Hat Cloud Infrastructureは、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformに加え、運用管理ソフトウェア「CloudForms Ver2」とレッドハッドの仮想化基盤ソフトウェア「Red Hat Enterprise Virtualization」を組み合わせたスイートとなっている。

 両ソフトウェア群の中核になるというRed Hat OpenStackのリリースは6カ月ごとを予定。OpenStack.orgのアップストリームのリリース後、Red Hatが提供する「RDO」でのビルドを経て、同社の商用ディストリビューションとして提供される。アップストリームから商用ディストリビューションとして提供までの期間は約2カ月を予定。将来的には、このサイクルを長期化させていくことを検討している。

Red Hat OpenStackの概要。ネットワーク関連などの一部機能は作り込みも行っているとのこと

 また、Red Hat Cloud Infrastructureに含まれるCloudForms Ver2は、今回のタイミングではRed Hat OpenStackをサポートしない。このため、既存環境とは別々に運用管理することになるが、「将来的にRed Hat OpenStackもサポートして、既存のワークロードとの統合、あるいは、OpenStackにさまざまなワークロードを取り込めるようにする」(常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈昌嗣氏)という。

 纐纈氏によれば、今回の2つのソフトウェア群は発展途上にあるもので、いち早くOpenStackベースのクラウド基盤を試したいとするアーリーアダプターの企業が利用する見込みだという。こうした取り組みは米国などでは多いが、「国内企業からも要望があり、驚いている」(纐纈氏)とのことだ。

廣川裕司社長

 記者会見した代表取締役社長の廣川裕司氏は、オープンソースソフトウェアとして出発したLinuxが企業のIT環境で利用されるまで20年近くを要したとし、「オープンソースソフトウェアの歴史は商用ソフトウェアの後追いだったが、Linuxの実績を踏まえ、OpenStackではオープンソースソフトウェアが先取りするようになる。歴史的瞬間だ」と述べた。

 纐纈氏は、OpenStackが企業で広く利用され始めるまでに「2年もかからないだろう」と語り、特に今後1年ほどで、エンタープライズソフトウェアとしての信頼性や安定性の実現に向けた開発を推進できるかが重要だとの見方を示した。

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