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» 2014年03月24日 08時00分 公開

学生1万9000人が使う“PCルーム”を全廃する九州大 その狙いとは? (2/3)

[本宮学,ITmedia]

「PCを買えない学生はどうする」――学内で反対意見も

 同大が学生の個人PC持ち込みにつながる取り組みをスタートしたのは2006年のこと。まずウイルス対策ソフトのライセンスを大学で一括購入し、学生が個人PCに実質無償でインストールできるようにした。また2007年には日本マイクロソフトと包括契約を結び、学生が最新版のWindowsとMicrosoft Officeを個人PCに無償インストールできるようにした。

 こうして同大は個人PCを学内で使いやすい環境を整備してきたものの、藤村教授はこれだけでは不十分だと感じていたという。「クラスに1人でもPCを持ってこない学生がいると、全員がPCを使えるという前提で教育を行えない。やるからには必携化までちゃんとやるべき。中途半端では意味がない」

 さらに新入生向けアンケートで「95%の学生はPCを持っている」という結果が出たことから、同大は個人PC必携化に向けた構想をスタート。一方、当初はこの案に学内で反対する声もあったという。

 「お金がなくてPCを買えない学生はどうするのか、電源コンセントはどうするのかとか、そういう意見はたくさん出た。しかし、ノートPCはいまや5万円ほどから買えるし、バッテリーだって5〜6時間は持つ。どうしても電池が切れてしまうようなら講義室のコンセントの近くの席に座ればいい。こうして16部局を回って説明して理解を得ることができた」(藤村教授)

 教育分野ごとに異なるPCへの要求スペックについては「学科ごとに推奨PCを指定してもらうことでクリアしていった」という。例えば、藤村教授が所属する学科ではMacbook Air、その他の学科ではWindows 7/8など――と、OSや端末種別から異なる機種を学科ごとに選べるようにしている。なおMacでは、前述のWindowsをインストール(Boot Camp)すればデュアルOSで使えるようになっている。

いざ運用スタート PC関連トラブルは「例年より減った」

photo 個人PCを使った授業の様子。学生ごとにさまざまな機種のPCを利用している

 2013年3月には学内の無線LAN環境を刷新し、「授業を行うほぼ全ての教室」で下り約130Mbpsの高速インターネットを利用できるようにしたほか、学内ネットワークにファイアウォール製品(パロアルトネットワークス製)を導入。危険なアプリケーションの利用を遮断する環境を整えた上で、2013年度の新入生から個人PCの必携化をスタートした。

 PC必携化当初はトラブル増加を懸念していたが、結果的に学生からの問い合わせは例年より大幅に減ったという。「最初に全新入生向けに講習会を行い、しっかりとPCの使い方をレクチャーしたのが効いた。これまではちゃんと教えられていなかったので個別の問い合わせが多かったが、今回は全学生を最初に面倒をみたので、ほとんどトラブルがなくなった」と藤村教授は振り返る。

 トラブル減少以外の効果も生まれているようだ。「例えば、学内PCに皆で一斉にログインさせると授業開始が遅くなるが、個人のノートPCなら普段通りパスワードを入れるだけですっと使える。データの保存場所も従来の教育情報システムでは1人当たり100Mバイトしかなかったが、自分のPCなので何十Gバイトでも保存できる。われわれが抱えていた課題をほとんど解消できた」

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