iPhone 6、WATCH、iOS 8――Appleが見据えるデータ市場の布石

Appleが今秋から順次していくiPhone 6、iOS 8、WATCHにとってどんなビジネスが展開されるのか――。

» 2014年09月10日 06時23分 公開
[ITmedia]

 米Appleは現地時間の9月9日、新製品となる「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」「Apple Watch」を発表した。iPhone 6とiPhone 6 Plus、6月の開発者向け会議WWDCで発表されたiOS 8が17日から順次販売、提供され、Apple Watchは2015年初頭に発売される。一連の製品展開で注目されるのが、健康(ヘルスケア)をテーマにしたビッグデータビジネスへのインパクトだ。

Apple Watch

 同社のヘルスケア分野へのアプローチは以前から行われてきたが、2014年に入って具体的なテクノロジー面での取り組みも明らかになってきた。

iOS 8のHealthKit

 例えば、2月には米特許商標局が同社に、ヘッドフォンによる用“スポーツモニタリング”システムに特許を付与。ジョギング中にこのシステムでユーザーの体温や発汗状態、心拍数などの生体情報を収集できるとされる。医療関連の施策を手掛ける米食品医薬品局(FDA)と会談したりやこの分野の人材を積極的に雇用したりもしている。

 iOS 8には、ヘルスケア情報を管理するための「HealthKit」が組み込まれ、同社は日常生活や運動での情報をアプリが活用して専門的なアドバイスを提供するようなサービスも可能だと説明する。

 こうした様々な“事前準備”を踏まえ、ヘルスケア関連データを収集するハードウェアプラットフォームの役割を担っていくみられるのが、Apple Watchだ。Apple Watchにはジャイロセンサー、加速度センサー、心拍計などのセンサーが内蔵され、PhoneのGPSやWi-Fiによる位置情報を組み合わせながら、ユーザーの1日の行動・健康状況を「ムーブ」「スタンド」「エクササイズ」という3つのモードで管理をしてくれる。同社サイトでも「もっと動いて、適度に運動して、毎日それぞれのリングを完成させる。それが目標です」と紹介されている。

Apple Watchに搭載されたヘルスケアの3つのモード(同社サイトより)

 Appleがヘルスケア分野への進出を目指すのは、先進国を中心に社会問題化している医療費など社会福祉に関わるコストの急増ぶりが背景にあるとされる

 病気にかからないようにするには日頃の運動が大事――といえば分かりやすいが、米国政府などは健康増進活動を社会レベルで広げることで、医療費の増大を抑制したいと考えている。そこでの活用を期待されるのが、ウェアラブルデバイスやデータ分析技術、ヘルスケア/医療関連サービスであり、これらが相互に連携できるようにするための環境整備が進む。

 数億台のiPhoneによって世界中にスマートフォン市場を創出したAppleだけに、WatchとiOS 8による巨大なヘルスケアデータサービス市場が世界中で一気に広がる可能性がありそうだ。

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