京大と富士通、自主学習を推進するデータ活用の共同研究に着手

京都大学が蓄積した学習エビデンスデータを分析し、効果的な教育手法の確立や学生の自主的な学習促進に役立てるための共同研究を開始した。

» 2015年08月31日 07時30分 公開
[ITmedia]

 京都大学と富士通は8月28日、京大内外の様々な学習支援システムに蓄積された履修記録や教材アクセス記録などの「学習エビデンスデータ」を、効果的な教育手法の確立や学生の自主的な学習促進に役立てる共同研究に着手したことを発表した。実施期間は2016年3月まで。

 京大では2004年頃から教育・学習支援システムを導入して、授業の出席状況や試験結果、教材・資料の参照日時といった学習エビデンスデータを蓄積している。2014年4月には、国内の大学としては初めて大規模公開オンライン講義(MOOC)の提供機関「edX」にも講義の提供を始め、教材ビデオの視聴日時や理解度テストの回答状況などの学習エビデンスデータが蓄積されている。

 富士通も2004年に学習支援システムの提供を始め、2012年には学習支援システムに蓄積される様々なデータを分析して学習行動の特徴をチャートで示す機能を実現。学習エビデンスデータの活用から教育の高度化を支援するシステムの提供に取り組んでいる。

共同研究の流れ(富士通資料)

 今回の共同研究では京大の学習エビデンスデータから、教員が行う教育手法やカリキュラム、学生の学習行動がどのような学習成果につながっているかを分析。その結果から新しい教育手法や自学自習を支援する学習手法と、これらを実現するためのICTプラットフォームを開発していく。

 京都大学は従来の学習との比較や分析、その結果を活用した新しい教育・学習方法の開発を担い、富士通は主にデータ分析とICTプラットフォームを開発する。

 9月までに分析ツールの開発とツールによる分析を行い、12月には分析結果を分かりやすく可視化するダッシュボードも開発する。2016年3月までにはツールやダッシュボードを1つのICTプラットフォームに統合し、MOOCを活用した講義から大学教育の場まで広く適用して、そことから得られる学習理解度やアンケートから得た学生の満足度評価などから効果を検証することにしている。

富士通が開発している学習行動の特徴をチャート(2012年の報道資料から)

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