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» 2015年10月13日 07時01分 公開

即席!3分で分かるITトレンド:毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「最新ITトレンド」 (3/4)

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

大脳としての「クラウド」

 IoTから生み出されるデータは、インターネットを介して、クラウドに送られます。インターネットにつながるデバイスの数が劇的な拡大を続ける中、そのデータ量は、急速な勢いで増え続けています。このようなデータを「ビッグデータ」と呼びます。

 ビッグデータは、日常のオフィス業務で使う表形式で整理できるようなデータは少なく、大半はセンサーデータ、会話の音声、文書、画像や動画などです。前者は、データをある決まり事に従って整理できるデータという意味で「構造化データ」と呼ばれています。後者は、そういう整理が難しいさまざまな形式を持つデータで、「非構造化データ」と呼ばれています。

 ビッグデータとして集められた現実世界のデータは、分析(アナリティクス)されなければ、生かされることはありません。しかし、データの内容や形式は多種多様であり、しかも膨大です。そのため、単純な統計解析だけでは、その価値を引き出すことはできません。そこで、「人工知能(AI:Artificial Intelligence)」に注目が集まっています。

 例えば、日本語の文書や音声でのやりとりを扱うなら、言葉の意味や文脈を理解しなければなりません。また、写真や動画であれば、そこにどのような情景が写っているか、誰が写っているかを取り出さなければ役に立ちません。さらには、誰と誰がどの程度、親しいのか、商品やサービスについてどのような話題が交わされているのか、そして何らかの対処が必要なのかというように、「意味」を読み取らなければなりません。このようなことに、人工知能が活躍するのです。

 人工知能は、かつては人間の作った規則に基づいて処理されるものが主流でした。しかし、昨今はビッグデータを解析することでコンピュータが自らルールや判断基準を作り出す機械学習方式が主流になりつつあります。その背景には、コンピュータやストレージなどのハードウェアの劇的なコスト低下と高性能化があります。加えて、大規模なデータを効率よく処理するためのソフトウェア技術開発が進んだこともあります。これにより、コンピュータが自身でビッグデータを学習し、そこに内在するノウハウや知見を見つけ出し、整理するとともに、推論や判断のルールを自分で作り出して最適化していき、自律的に性能を高めていくことが可能になりました。

 例えば、チェスや将棋のチャンピオンと勝負して彼らを破ったり、米国の人気クイズ番組でチャンピオンになったりと、コンピュータが、高度な人間の知的な活動や判断に近づきつつあるのも、この機械学習の成果です。

 このような人間の左脳の働きにあたる思考や論理だけではなく、右脳の働きにあたる人間の知覚や感性も、コンピュータで再現できるようになりつつあります。この働きを実現するために、人間の脳の神経活動を模倣したアルゴリズム「ニューラルネットワーク」が使われています。この技術は、ここ数年で急速な進歩を遂げ、人間の能力に近づきつつある分野も生まれています。

 人工知能で処理された結果は、機器の制御や運転、交通管制やエネルギー需給の調整などの産業活動の制御をはじめ、ユーザーへの健康アドバイス、商品やサービスの推奨として、スマートフォンやウェアラブルを使用する一般利用者にもフィードバックされるようになるでしょう。またユーザーの趣味嗜好に合わせた最適な広告・宣伝にも使われるでしょう。また、人間の手足となる「ロボット」の知識や能力の向上にも使われるようになります。

 ビッグデータや人工知能、その他のさまざまなサービスを提供するアプリケーションはクラウド上で動かされ、互いに連携し、多様な組み合わせを生み出します。そして、そこに新たな価値やサービスが生み出されていきます。

手足としての「ロボット」

 自動走行車、産業用ロボット、建設ロボット、介護ロボット、生活支援ロボット、輸送ロボットなど、さまざまなロボットが私たちの日常で使われるようになるでしょう。

 従来のITは、情報を処理し、その結果を人や機械に伝える仕組みが主流でした。しかし、ロボットは、組み込まれたセンサーによって、自ら情報収集し、処理、判断して行動します。また、周囲の人の動きや周辺環境をデータとして取得し、自身に組み込まれた人工知能によって、人間の操作を受けることなく自律的に制御する仕組みを備えたものもあります。

 さらに、インターネットを介し、クラウドとつながることで、さらに多くの情報や制御を受け、自らの行動を状況に応じて最適化したり、一体となって強力な情報処理能力、知的能力を持つようになったりします。自らに組み込まれたセンサーによって、自身で情報を収集し、またインターネットに送り出してもいるという意味では、ロボットもまた「IoTデバイス」といえるでしょう。

 人工知能が人間の知的活動を補い、拡張してくれるように、ロボットが、人間の身体能力を補い、拡張しようとしています。一方で、これまで人間にしかできなかった労働を奪うのではないかと懸念する声も出始めています。

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