キヤノングループ、Kinectを利用した運動測定ソリューションを発売

キヤノンMJとキヤノンIMは、運動機能測定システム「ロコモヘルパー」を発売する。Kinectを利用したユニークなソリューションだ。

» 2016年05月31日 15時23分 公開
[ITmedia]

 キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)とキヤノンITSメディカル(以下、キヤノンIM)は、自社開発の運動機能測定システム「ロコモヘルパー」を2016年6月1日より発売する。これによりキヤノンIMは、介護予防事業所向けソリューション事業に参入することとなる。

 ロコモヘルパーは、キヤノンITソリューションズが研究開発した要素技術を組み込んだライブラリーをもとに製品化された。今後、キヤノンMJの介護業界を担当する直販部門のほか、キヤノンシステムアンドサポートが連携し、グループ横断で販売とサポートを展開する。

 厚生労働省は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)」の啓発活動に注力しており、介護予防事業所などでは高齢者の健康状態を把握するため、その運動機能を介護スタッフが定期的に測定し、本人やその家族に指導をしている。「ロコモヘルパー」は、こうした介護予防事業所での業務を効率化させるシステムとして開発された。

 同製品は、マイクロソフトの赤外線深度センサーカメラ「Kinect」が認識した利用者の骨格情報から、運動機能の判断基準となる「片足立ちの時間・高さ」「歩行速度」「イス立ち座り回数」などの運動種目ごとに骨格の動きをデジタル化して自動測定、評価、記録する。骨格情報を入力情報とするため、利用者は運動測定のために特別なセンサーを着用する必要はない。

ロコモヘルパーによる計測の様子。Kinectが利用者の骨格情報を認識している(画像提供:キヤノンMJ)

 また、測定結果のリポートを自動で作成する機能を持ち、介護スタッフの運動測定にかかわる業務を効率化する。従来は測定記録を紙やPCなどに手入力し、運動機能の改善動向のリポートを作成していたが、この一連の業務が自動化された。リポートはExcelで保存でき、介護スタッフの個別フリーコメントも入力できる。

 さらに、録画機能により運動測定時の動画データを振り返ることができる。運動測定の記録に加え、測定状況を録画する機能を標準で搭載しているため、測定数値と測定動画を対で保管できる。運動測定記録を動画で振り返ることにより、測定後に介護スタッフによる解析・照合・確認が円滑に行えるようになる。

 既にキヤノンIMでは、介護事業などを展開するソラストと、社会福祉法人聖隷福祉事業団の聖隷藤沢ウェルフェアタウンの協力のもと、同製品の実証実験を行った。測定や記録の業務を省力化できたり、運動機能の経年変化を正確に比較できたりといった導入効果が認められ、利用者および介護スタッフから高い評価を得ているという。なおソラストは、全国の通所介護サービス46事業所にロコモヘルパーを導入し、6月以降順次運用を開始すると決定している。

 「ロコモヘルパー」の販売価格は税別60万円から。今後3年間で累計1000施設への販売を目指す。

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