カードの不正利用もAIで暴く――JCBのデータ活用、その裏で活躍する分析チームの姿システムと組織の両面で改革(2/3 ページ)

» 2017年11月13日 08時00分 公開
[冨永裕子ITmedia]

JUSTが分析プロジェクト支援でやってきたこと

 JUSTはこれまで、加盟店用の「送客支援」、セキュリティ部門用の「カード不正の検知」、コミュニケーション部門用の「電話やメールのテキストマイニング」といった、多岐にわたる分析プロジェクトを支援してきた。

 特にカード不正利用については、人工知能(機械学習)を使った検知システムを活用しているという。カードの不正は、盗難やカード偽造のような犯罪と、加盟店による過剰支払いの2パターンに分けられる。

 前者については、基幹システムで「ニューラルネットワークとルールベースのモデルを組み合わせた、精度の高い不正検知用のシステムを以前から利用している」と箕谷氏。一方、後者の加盟店不正では、テンソル・コンサルティングが持つ独自のAIエンジンを使い、「ぼったくり」など、過剰支払いを強制する不良加盟店を見つけるモデルを新たに開発したという。

 会員がぼったくり被害に遭うと、カード会社としての社会的信頼の失墜や、取り消し処理が必要になることもある。これまで、不良加盟店を探すには、カード会員からのクレームをもとに、担当者が実地調査を行って確認していたため、調査件数に比例して工数がかかるという問題があった。「担当者が持つ現場の知見とテクノロジーで解決できないかと考え、機械学習を使ってモデルを作った」と箕谷氏は話す。

 担当者がチェックしていた項目をスコアリングし、その結果に基づいて、ある程度対象を絞った調査ができるようになった結果、カード会員の保護とブランドイメージの向上に貢献したという社内評価を得た。現場でも、機械学習の高い精度が好評なのだという。

JUSTの支援で実現した「データ分析のスピードアップ」

 ユーザー部門の依頼を受けてIT部門がデータ分析の要件を確認し、必要なデータの特定や抽出を行い、分析手法を選定してモデリングと実装に着手する――こうしたプロセスを進めるのは時間がかかる。ユーザー部門とIT部門とのコミュニケーションがうまくいかず、時間のムダが生じるのはどの企業でも共通する悩みだろう。

 データ分析のスピードは、モデリング時のデータの扱いがカギを握る。JCBでは、Teradataのエンジニアに、データサイエンティストが行うデータマネジメント業務を任せ、JUSTがデータサイエンティストとユーザー部門の橋渡しをする体制を作り上げた。同社はプロジェクトコストの適正化や、分析リテラシーの向上などに手応えを感じている。

photo JUSTのユーザー部門をサポートする体制(出典:JCB)

 せっかく高い効果が期待できる戦略や分析モデルができても、実装に時間がかかれば、機を逸してしまうこともある。データ分析要件を初期段階から理解できているため、新体制では上流工程の短縮が実現できたという。

 箕谷氏が最も成果があったと感じているのは、自社のリソースを「自分たちが業務をどう変えるか」に集中できるようになったことだ。「『分析ならばJUSTに相談すればいい』という雰囲気が社内に浸透し始めた」と同氏は話す。

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