「PC大手のデル」は昔の話――「デジタル変革支援企業」としての強みは?Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2019年03月18日 09時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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日本法人首脳が語る「Dellとはどんな会社か」

 次に、大塚氏がデルとEMCジャパンを合わせた日本の動きについて説明した。2018年度の事業実績は、売上高の伸びが前年度比20%以上でグローバルを上回るなど、図3の通り。サーバやストレージなどの主力製品分野の成長でもグローバルを上回るなど、好調に推移した。

Photo 図3 デルとEMCジャパンの2018年度事業実績

 2018年度に設定した5つの重点戦略と成果については、1つ目の「お客さまの変革に貢献する真のパートナーへ」では、前述した4つのトランスフォーメーションを推進したことにより、関連案件が前年度に比べて倍増。2つ目の「マーケットカバレージの拡大」では、ハイタッチセールスおよびプリセールスを増強した。

 3つ目の「パートナーとの協業のさらなる拡大」では、パートナー施策を強化したことにより、240社の新規パートナーを獲得。4つ目の「ライフサイクル全般にわたるお客さま満足度強化」では、国内のサポート体制への投資を継続。5つ目の「Dell EMCブランドの強化」では、主要な空港や駅でキャンペーンを実施した。

 2019年度の重点戦略は、図4に示すように4つの項目を設定。大塚氏によると、「前年度の重点戦略と表現的にはほぼ同じだが、内容を大きく進化させていく」としている。また、スローガンとして2018年度は「Make It Real」だったが、2019年度は「Real Transformation」とし、文字通り「リアルなトランスフォーメーションの支援に努めていく」と強調した。

Photo 図4 デルとEMCジャパンの2019年度重点戦略

 さて、冒頭で述べた問題意識について。筆者は会見の質疑応答で、「Dellは時代の流れに逆らってプロダクトにこだわっているように見えるが、そうした見方に対してお三方それぞれにコメントをいただきたい」と質問した。すると3氏は次のように答えた。

 「私たちの役目は、あらゆる分野でサービスを提供するお客さまが必要とするコンポーネントを提供することにある。だからこそ、中立性や共通性を保持し、標準的なテクノロジーを採用したコンポーネントを提供し続けていく責任があると考えている」(平手氏)

 「テクノロジーが直接ビジネス価値を生むようになってきた中で、私たちは巨額の投資をして、そうしたテクノロジーの開発に注力している。そして、それをパートナー企業とともにお客さまのお役に立てるように尽力している。このビジネスモデルは今後も変わらない」(大塚氏)

 「私たちは、お客さまが自らのビジネスをサービス化していくことに対して、必要となるテクノロジーやプロダクトを提供してご支援していくのが使命だと考えている。それに応えられるように幅広い事業のポートフォリオを保持し、新しいテクノロジーを取り入れることに注力している」(黒田氏)

 実は、お三方それぞれにコメントを求めたのは、話す内容は同じでも表現の仕方で、Dellとはどんな会社か、について何か感じ取れるかもしれないと思ったからだ。結果、どうだったかは読者諸氏の受け止め方に委ねたい。

 いずれにしても、単なる「パソコン大手のデル」でないことは明らかである。

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