SAPジャパンがデジタルトランスフォーメーション事業に向けて、「デジタルエコシステム」の推進に注力している。この動き、多くの一般企業にとっても参考になりそうだ。
「新たな施設で生み出されるデジタルトランスフォーメーション(DX)によるイノベーションを、日本国内のみならず、SAPを通じてグローバルにもどんどん発信していってもらいたい」――。SAPエグゼクティブボードメンバーで最高業務執行責任者(COO)を務めるクリスチャン・クライン氏は、SAPジャパンが先頃開いたDX事業に向けた新たな施設についての発表会見でこう力を込めた。
新たな施設とは、DX事業に向けて顧客やパートナー企業との共創によってイノベーションを創出するための「SAP Leonardo Experience Center Tokyo」と、グローバルな研究開発組織である「SAP Labs Japan」のことだ。いずれも東京の大手町にこのほど開設した。この新たな2つの施設によって、SAPジャパンが推進する「デジタルエコシステム」はまた一段と拡充された。本稿では、このデジタルエコシステムに注目したい。
まずは、このほどオープンした新たな施設をもう少し説明しておこう。
SAP Leonardo Experience Center Tokyoは、デザインシンキングを行うための「ヒューマン・インタラクション・スペース」と、DXを実現した後の姿が体験できる「デジタル・インタラクション・スペース」を備えている。デジタル・インタラクション・スペースではDX後の姿を360度でバーチャル体験できる「Immersive Experienceルーム」を中心に据え、デザインシンキングで生まれたアイデアの具体像がイメージできるようになっている(図1)。
一方、SAP Labs Japanは、グローバルな研究開発組織である「SAP Labs」の日本での拠点で、SAP標準ソリューションの日本市場向け機能の拡張や、日本が強みとする分野におけるSAPグローバルのソリューション開発への寄与を目的としている。また、SAP Labsはそれぞれの地域で顧客やパートナー企業、大学などとも緊密に連携した活動をしていることから、日本でも同様の動きを活発に行っていく構えだ。
こうした新たな施設を開設したSAPジャパンは現在、「インテリジェントエンタープライズの普及」「日本型DXのフレームワーク作り」「協働イノベーションのためのデジタルエコシステム」といった3つの重点テーマを掲げているが、今回の発表は2つ目の日本型DXを踏まえた3つ目のデジタルエコシステムの話となる。
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