SAPジャパンが顧客企業のDX支援に向けた新サービスを提供開始した。この動きの背景には、顧客およびパートナー企業と“三位一体”となったビジネスエコシステムを拡充したいという思惑がある。DX市場の競争はその勢力争いがカギになりそうだ。
「SAPはお客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)に向け、ソフトウェアベンダーならではの知見とノウハウを提供し、パートナー企業とともに“三位一体”となって取り組み、支援していきたい」
SAPジャパン 常務執行役員 デジタルビジネスサービス事業本部長の工藤晶氏は、同社が先頃開いた新サービスの記者説明会でこう強調した。
この発言の意図と市場背景については後ほど考察するとして、まずは今回SAPジャパンが提供を開始した新サービスについて紹介しておこう。
新サービスは、顧客企業と包括的かつ戦略的なパートナーシップを構築し、SAPソリューションの導入プロジェクトにおけるアドバイスなどの技術的支援を提供する従来のサービス「Premium Engagements」を刷新したものである。
具体的には、戦略的な連携により顧客のビジネス価値の創造を最大限支援する大企業向けの「SAP MaxAttention」、インテリジェントエンタープライズの実現を目指す中堅企業向けの「SAP ActiveAttention」、加えて「SAP S/4HANA」および「SAP BW/4HANA」導入プロジェクトを支援する「SAP Value Assurance」の3種類だ(図1)。
SAP MaxAttentionとSAP ActiveAttentionは、従来は導入プロジェクトの実行から運用までが支援の対象だったが、新規サービスでは対象範囲を拡大し、SAPソリューション導入における計画段階からプロジェクトの準備、導入、運用に至るまで、エンドツーエンドでの支援を提供。デジタル変革の構想策定とイノベーションの実現に関するアドバイスを提供することで、顧客のインテリジェントエンタープライズの実現を支援する。
また、従来はオンプレミスのソリューションのみ対象だったが、クラウドおよびハイブリッドソリューションへと範囲を拡大した。
SAP Value Assuranceは、従来SAP MaxAttentionの一部として提供されていたが、S/4HANAおよびBW/4HANAソリューションの導入に特化したサービスのみを個別契約として提供する形になった。新機能の情報や活用方法をアドバイスすることで、ソリューションの最大活用を促進するとともに、ビジネスパフォーマンスを最大化するための標準化と改善の促進、プロジェクトリスクの低減を支援する。
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