お役所のシステムは古く、使いにくく、分かりにくい――そんな声は「中の人」にとっても同感のものだった。内閣官房IT総合戦略室は現在、ユーザー中心のインターフェース構築とAPIを利用した民間サービスの利用による「デジタル・ガバメント」の実行を目指している。政府のDXを支えるべく宣言された「クラウド・バイ・デフォルト宣言」が具体的に何を進めているのか。第一線に立つ政府CIO補佐官が語った。
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2020年3月10日、アイティメディア主催のオンラインセミナー「ITmedia DX Summit 2020年春・ITサービス編」が開催された。基調講演の中で内閣官房IT総合戦略室 政府CIO補佐官の満塩尚史氏は「政府情報システムにおける『クラウド・バイ・デフォルト』の推進」と題し、政府におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きを語った。
内閣官房のCIO補佐官は、現在30人以上(2020年3月時点)。CIO補佐官は民間出身者で、内閣官房IT総合戦略室に関する業務や各省庁のIT部門と連携したシステムの開発などに当たっているという。満塩氏も民間の大手監査法人系コンサルティングファームの出身で、現在は経済産業省のCIO補佐官、最高情報セキュリティアドバイザーも兼任している。
満塩氏は、2019年12月に閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」を支えるクラウド利用について以下のように説明する。
「デジタル・ガバメントでは『BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)の実行』と『クラウドの基盤を活用すること』『一元的なITのガバナンス実現』が主な目的になる。そこで政府はこれまでのレガシーから『クラウド活用』という新しい方針を出した」
デジタル・ガバメント実行計画を支えるのは「クラウド・バイ・デフォルト原則」を踏まえた政府情報システムの整備だ。満塩氏はこの原則について「政府のITシステムが全てクラウドサービスになると誤解している向きがある」と述べる。
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