日本通運がRPAで挑む40万時間削減への道のり

「2020年3月までに年間40万時間の業務時間を削減」という高い目標を掲げ、RPA導入に挑んだ日本通運。そのスタートにはさまざまな困難が待ち受けていたという。それでも目標を達成しようと同社が練り上げ、実行した戦術とは。

» 2020年04月22日 09時30分 公開
[指田昌夫ITmedia]

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 2人のチームでRPA導入プロジェクトを始動させた日本通運。「2020年3月までに40万時間の業務時間を削減する」という高い目標を掲げたが、その道のりは困難を伴った。プロジェクト初期には、複雑な業務を自動化させようとしたことで、「ロボットが頻繁に止まる」事態にも陥った。

 40万時間削減の目標を達成するために同社はある戦術を練った。その内容とは? 2018年にプロジェクトを本格スタートさせてから約1年半がたち、目標にどれだけ近づいたのか?

年間40万時間削減という高い目標を掲げる

 日本通運は、陸・海・空の貨物輸送に関わるグローバルなネットワークを張り巡らし、日本を代表する物流企業だ。同社がRPAの導入を決めた経緯について、IT推進部課長の井上恵太氏は次のように話す。

日本通運 井上恵太氏

 「物流業界は今、サプライチェーンのグローバル化やデジタル化など、変化の只中にいます。より付加価値の高いサービスが求められる中で、従業員の業務も複雑化してきました。さらに、社会的な課題として労働人口が減少しており、当社もその影響を受けています。定型作業から人手を解放し、人が分析、企画、営業などの業務に注力できる環境を整えて『従業員が働きやすい企業にしよう』とRPAの導入を検討しはじめました」(井上氏)

 そこで、2017年10月ころから製品選定をはじめ「あらゆるWebブラウザに対応している」「海外での実績があり、グローバルの拠点に展開しやすい」という2点を重視して、「UiPath」を採用した。2018年4月に専任担当者2人が主体となって本格的にプロジェクトをスタートさせ、同年10月からは「2020年3月までにRPAで年間40万時間の業務を削減する」という目標に向かってまい進することになった。40万時間とは、約200人分の年間業務時間に相当する高い目標だ。

 「決して簡単ではない目標を掲げましたが、ITによって従業員をサポートし、最終的にはRPAで会社のマインドを変えたいという思いがありました」(井上氏)

分岐200パターンの複雑なRPAが業務選定の教訓に

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