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» 2020年06月17日 09時48分 公開

身近な歯ブラシも機械学習で進化する ライオンが成し遂げたAIの民主化とは (1/2)

ヘルスケアカンパニーのライオンは近年、デジタルを活用した新製品の開発や既存の製品開発業務の効率化に注力している。データサイエンス室はこうした社内のデジタル化の啓発に日々努めている。同部署が、製品開発部門に機械学習を導入するまでの苦労とは。

[指田昌夫,ITmedia]

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 ライオンは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を経営ビジョンに、デジタル技術を積極的に利用している。その中心的な役割を担う組織の1つが、2019年1月に発足したデータサイエンス室だ。室長の黒川博史氏は、化学の研究者出身でありながら、データサイエンティストやエンジニアからなるチームを率いるデジタル化推進のリーダーである。

「データサイエンス室の目下のミッションには2つの軸がある。1つはデジタルの活用で新製品や新サービスなどの新しい価値を生み出すこと。もう1つは、既存のビジネスの効率化だ。また、ライオンではAI(人工知能)や機械学習の利用がまだ社内に根付いていないので、データサイエンス室はそれを広める役割も担っている」(黒川氏)

 データサイエンス室は特に、研究開発部門でのデジタル活用に注力している。戦略統括部で、データサイエンス室と協業する藤原優一氏は、次のように語る。

「製品開発の一連のプロセスでは、論文などの資料をテキストマイニングで解析したり、ロボットで実験を自動化したりと、デジタルを活用できる局面は多い。中でも注目したのが、機械学習を利用した製品仕様の絞り込みだ」(藤原氏)

 同社の製品開発プロセスは通常、「企画」「仕様固め」「試作品開発」「テスト」「製品の修正」というサイクルだ。試作品は基本的に手作りのため、大量に作る場合は手間とコストがかかる。そのため、機械学習で過去のデータを基にしたシミュレーションをし、仕様に合致する試作品のみを作れば、作業効率を大幅にアップできると藤原氏は予測した。

主力の歯ブラシ開発にデータ分析を本格導入

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