企業はDXに向けて「顧客の声」をどう生かすべきか――富士通の挑戦Weekly Memo(1/2 ページ)

DXによってビジネス変革を推進する際、顧客の声をどう生かしていくか。この重要なテーマに、富士通が最新ツールを使って挑んでいる。興味深い内容なので取り上げて考察したい。

» 2020年12月28日 07時30分 公開
[松岡功ITmedia]

 「今回の取り組みで、もっと顧客中心の企業文化を浸透させていきたい」――。こう語るのは、富士通の山本多絵子氏(理事CMO)だ。SAPグループのQualtrics日本法人であるクアルトリクスが2020年12月15日にオンラインで開いた記者会見で、同社のエクスペリエンスマネジメント(XM)ソリューションの活用事例として説明した際の発言である。

Photo 左から、富士通の山本多絵子氏(理事CMO)とクアルトリクスの熊代悟氏(カントリーマネージャー)

 活用事例とは、富士通の全社DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトにおけるCX(カスタマーエクスペリエンス)改善に向けた取り組みのことだ。その話が非常に興味深い内容だったので、今回はその取り組みを紹介しながら、「DXにおいて顧客の声をどう生かしていくか」について考察したい。

 富士通が採用したクアルトリクスのXMソリューションについては、2020年3月2日掲載の本連載「DX時代に注目されそうな『エクスペリエンスマネジメント(XM)』とは何か」を参照していただきたい。

顧客の声の指標を刷新、グローバルで統一 苦労の多い施策にあえて臨んだ理由

 クアルトリクスの熊代悟氏(カントリーマネージャー)とともに会見に臨んだ山本氏は、富士通が2020年7月から取り組んでいる全社DXプロジェクトにおいて、CXおよびエンプロイエクスペリエンス(EX)改善に向けて、クアルトリクスのXMソリューションを用いて顧客と従業員の声を反映する「VOICEプログラム」について説明した。

 図1がVOICEプログラムの概要だ。山本氏はこの図を示しながら「CXやEXというと難しいことのように聞こえるが、要はお客さまや従業員を深く知って理解することから始まる。当社はこのVOICEでまず従業員の声を集めて分析し、そこから働き方改革のアイデアを生み出した。そして次に、お客さまの声を反映させる取り組みをこのほど実施した」と述べた。

Photo 図1 VOICEプログラムの概要(出典:富士通)

 図2がその実施概要である。ここでのポイントは、富士通はCXに向けた非財務指標として「顧客ネットプロモータースコア(NPS)」を採用していることだ。顧客に向けた指標としては、従来カスタマーサティスファクション(CS:顧客満足度)が広く適用されてきたが、NPSを採用した理由について、山本氏は自虐的な話を交えながら次のように語った。

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