RPAとAIを組み合わせてDXを推進する動きが注目を集めている。どのようなソリューションがトレンドなのか。RPAソリューション大手ベンダー、UiPathの長谷川社長による説明を基に考察したい。
RPAソリューションの大手ベンダーであるUiPathが2021年2月9〜26日「現場が輝くデジタルトランスフォーメーション」をテーマに、自社イベント「Reboot Work Festival」をオンラインで開催している。
その基調講演で、同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の長谷川康一氏が説いた「RPAとAI(人工知能)の組み合わせ(以下、「RPA×AI」)によるデジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンド」についての話が非常に興味深かったので、ここで取り上げたい。
UiPathは今、企業の業務におけるエンドツーエンドのオートメーションによる「Fully Automated Enterprise」(完全に自動化したエンタープライズ環境)の実現を目標に掲げ、これに向けた製品やサービスの展開に注力している。
長谷川氏はこの目標について「RPA×AIによって個々人だけでなく会社全体の生産性向上を図っていこうという意味だ。ただし、あくまでも人を中心に自動化していくことが前提となる」と説明した(図1)。
この目標を見据えながら、同氏はRPA×AIによる最近のトレンドとして、次の3つを挙げた。
1つ目は「テクノロジーはITからデジタルへと移行し、その中でデータの活用とクラウドサービスの連携が必須になる」という動きだ。同氏は「今後ますます広がるデジタルの世界で、RPAは日々発生する大量かつ多様なデータと、クラウドで動くAIをはじめとしたさまざまなサービスを結び付け、RPA×AIでDXの効果を最大化する役割を担っている」と説明した(図2)。
2つ目は「ビジネスがデジタルになるときに、現場の主体性とITの伴走が始まる」という動きだ。これは、企業がビジネス全体をデジタル化する際には、そのスピードをできるだけ上げるために、ビジネス現場が主体となって新しいテクノロジーを積極的に利用する一方、IT部門はその技術的な支援を進めながら、全体としてのガバナンスへの対応を担うという意味だ。そのビジネス現場がDXを推進する際に効果的なのが、RPA×AIの活用だ。
図3は、この2つ目のトレンドについて描いたものだが、説明が必要な部分が2つあるので触れておきたい。1つは、中段の「デジタルのビジネスは万三つ」あるいは「コロナ禍では即時性がカギ」について、RPA×AIが効果を発揮する様子を示した構図である。いずれも失敗を恐れずスピーディーな試みを進めることを促している。
もう1つは、図3の下段に「経営、現場、IT部門による“三権分立”」の状態を描いているが、これもITとデジタルの違いを表し「企業において、これまでのITはIT部門が統括していたが、デジタルの世界では経営層が主管し、ビジネス現場が実際に取り組み、IT部門はサポートとガバナンスを担うことになる」(長谷川氏)という構図を示している。
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