「そのITツールの導入ちょっと待った」 5つの実施手順で組織変革を実現しよう組織を変えるチェンジマネジメント

「DXを推進したいが、何から始めたらいいのか分からない」「新しいツールを導入したが、現場で活用されていない」といった声をよく聞きます。こうした組織におすすめするのが「チェンジマネジメント」です。本稿は、チェンジマネジメントの具体的な実施手順を5つに分けて説明します。

» 2021年02月19日 07時00分 公開

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 多くの企業が、デジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革を推進すべくITツールを導入しています。しかしITツールは、導入したからといって必ずしも成果が出るというものではありません。組織は、ITツールを導入する前に目的に向けてそれらを有効に活用できる基盤を整えておく必要があります。

 前回は、組織にありがちな生産性を阻害する働き方を挙げつつ、人のメンタルモデルや企業文化などの観点から組織を変革する「チェンジマネジメント」について簡単に紹介しました。今回は、前回の例を再掲しつつチェンジマネジメントの具体的な実施手順を、下記の5段階で説明していきます。

  1. 働き方のビジョン策定
  2. 業務プロセスの分析
  3. 阻害要因の把握
  4. スポンサーシップの獲得
  5. 社内コミュニケーション

記事提供:株式会社ストリートスマート

「Google Workspace」をはじめとするクラウドサービスを通して、業務効率の向上やコミュケーションの活性化など総合的な働き方の変革を支援します。本稿では「チェンジマネジメント」を通してテレワーク時代の働き方とマインドセットを考えていきます。


1.働き方のビジョンを策定する まずは変革のゴールを設定しよう

 当社が企業のDX推進や働き方改革をサポートしてきた中でよく耳にするのが、「DXを推進したいが、何から始めたらいいのか分からない」「新しいツールを導入したが、現場で活用されていない」といった声です。

 「DXを推進する」「働き方改革を実施する」という方針のみを伝えた場合、現場の従業員は何を目指すべきかが非常に曖昧であるため、具体的なアクションを起こしづらくなります。組織全体で成果を上げるためには、「どのような状態を目指すのか」という「働き方のビジョン」を策定して周知することが重要です。

 ビジョンの策定は、変革により「どのようなビジネスインパクトを生み出したいか」を考えるところから始めましょう。下記で組織変革によって生じるビジネスインパクトの事例を挙げます。

組織変革によるビジネスインパクト(出典:ストリートスマート)
  • 生産性:「新店舗の出店に要する期間が短くなった」「平均残業時間が短縮された」
  • 革新性:「現場から新たな提案が起きている」「多くの新規事業が立ち上がっている」
  • 協調性:「テレワークにおいても協力して、高い生産性で仕事を進められている」「部署間での連携が進んでいる」
  • 人材確保や保持:「場所に縛られず柔軟に働ける仕事環境が、優秀な人材をひきつけた」「働き方に関する従業員の満足度が向上して離職率が下がった」

 ビジネスインパクトの方向性を定めた後は、「どのような状態になれば成功といえるのか」を明確にするために、目標となるKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。KPIは、「利益÷労働投入量」(従業員数×労働時間)である労働生産性や残業時間、離職率、従業員満足度、従業員エンゲージメントなどが考えられます。

2.業務プロセスを分析する 現状と理想の“ズレ”を把握しよう

 次のステップは業務の現状分析です。営業や開発など幾つかの組織や部署をピックアップして、「現在どのように業務を進めているか」を分析しましょう。分析する部署は、「組織における貢献度」や「働き方改革によって生じるインパクト」を基準に選定しましょう。同じ部署に所属していても、業務によっては外出や顧客とのやりとりが発生するなど従業員ごとに働き方は異なります。特性に合わせて従業員を事前にグルーピングしておきましょう。

 営業組織における顧客への提案業務を例に挙げます。前回も説明しましたが、顧客への提案は一般的に以下のようなプロセスで進みます。

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