ユニリーバが「サステナブルな働き方」で目指すもの【後編】社員のウェルビーイングと企業の成長は両立するか(1/2 ページ)

他社に先駆けて新しい働き方である「WAA」を導入したユニリーバでは、ワーケーションや副業の他、副業人材の受け入れも実施する。こうした先進的な人事制度導入を通じて同社が目指す企業像とは。

» 2022年01月14日 09時00分 公開
[田中広美ITmedia]

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 ユニリーバ・ジャパン(以下、ユニリーバ)は、2016年から社員が働く場所と時間を自由に選べる人事制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入した。前編では導入の背景と定着に成功した理由に触れた。

参考記事:ユニリーバが「サステナブルな働き方」で目指すもの【前編】

 後編となる本稿では、同社が挑戦する新たな人事制度であるワーケーションや副業導入の狙いと、これら先進的な制度導入を支える人事領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)について同社人事マネジャー/EX(Employee Experience)の岡田 美紀子氏に聞く。

「選ばれる企業」になるために

 「働き方改革」と比べて、ワーケーションや副業を実践する企業はまだ少ない。この2つの実践は企業と社員との関係や、社員が仕事に取り組む姿勢にどういう影響をもたらすのだろうか。

 ワーケーションと副業を自身も実践する岡田氏に「会社との関係に変化はあったか」と問うと、「良い変化があった」という答えが返ってきた(以下、断りのない会話文は岡田氏の発言)。

ウェルビーイングを高めるワーケーション

 workcation(ワーケーション)とはwork(ワーク)とvacation(バケーション)を組み合わせた新語で、観光地などオフィスや自宅から離れた場所で休暇を取りつつテレワークを実施することを指す。

 ユニリーバは2019年、「地域 de WAA」として北海道下川町や宮城県女川町など全国の8自治体と連携し(2021年2月時点)、地域の施設を「コWAAキングスペース」(コワーキングスペース)として社員が無料で利用できる制度を導入した。自治体が指定する地域の課題解決に貢献する活動を行えば、提携する宿泊施設の利用料が無料または割引となる。

ユニリーバの人事マネジャー/EX(Employee Experience)岡田 美紀子氏 ユニリーバの人事マネジャー/EX(Employee Experience)岡田 美紀子氏

 岡田氏は和歌山県白浜町を複数回訪れ「ワーケーションでウェルビーイング(注1)が高まると感じた」と語る。

 それまでは長期休暇前後の仕事量が増えたり、自分が休むことで同僚に迷惑をかけるのではないかという不安があったりしたが、「1日の中でも仕事と余暇の時間を分散できたり、余暇時間の過ごし方が非日常であることによりストレスが減った」という。「私にとって南紀白浜は非日常の場所であると同時に、自宅よりも心身がリラックスする場所でもあるから、ウェルビーイングが高まるのだと思う」

若い世代にとって副業は「当たり前」に

 一方の副業はどうか。ユニリーバは以前からパラレルキャリア(注2)として同社社員が副業に取り組むことを推奨してきた。その狙いについて岡田氏はこう語る。

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