中堅・中小企業に人気のノーコード/ローコード開発ツールは? ノークリサーチが調査

ノークリサーチの調査で、国内の中堅・中小企業に人気のノーコード/ローコードツールが判明した。また今、中堅・中小企業に注目されている用途から、今後の活用スタイルがみえてきた。

» 2022年12月06日 07時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 ノークリサーチは中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの活用状況に関する調査結果を発表した。同調査は、年商500億円未満の国内全業種の中堅・中小企業1300社(全業種)を対象として2022年7〜8月の間実施し、ノーコード/ローコード開発ツールの導入済み、あるいは導入予定の企業の割合や用途などを分析した。調査対象としたノーコード/ローコード開発ツールは下記の6分野33項目だ。

調査対象としたノーコード/ローコード開発ツール6分野33項目(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

「導入予定」の割合が最も高いローコード/ノーコード開発ツールは?

 ノーコード/ローコード開発ツールの6分野のうち、代表格といえる「超高速開発ツール」の導入率は次の図のようになった。

導入済み/導入予定の「超高速開発ツール」(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 「導入済み」では、ジェネクサス・ジャパンの「GeneXus」(14.4%)とNTTデータ・イントラマートの「intra-mart Accel Platform」(15.1%)が比較的高い値を示した。前者はレガシーマイグレーションで強みを発揮しており、後者は業務フローやビジネスプロセスの基盤として高い評価を得ている。

 「導入済み」と「導入予定」を比較すると、キヤノンITソリューションズの「Web Performer」は12.2%と15.2%で導入予定が3ポイント多く、日立ソリューションズ東日本の「AppSQUARE」は10.8%と15.5%で導入予定の方が4.7ポイント多い。住友電工情報システムの「楽々Framework3」は4.3%と15.5%で導入予定が11.2ポイントと3つのソリューションの中では最も多かった。

 超高速開発ツールはオンプレミスかつソースコード生成型が主流だったが、昨今はintra-mart Accel Platformの開発基盤サービス「Accel-Mart Quick」「Accel-Mart Plus」などのようにPaaS(Platform as a Service)に展開する動きも活発になっている。

 また、AppSQUAREや楽々Framework3といった今後の伸びが予想されるツールには「ソースコード非生成型」がやや目立つ。ノークリサーチは、今後は「ソースコードを自動生成して、細かい箇所はコーディングする」だけにとどまらない新たな超高速開発ツールの活用スタイルが増える可能性があるとみている。

機能追加やマイグレーション、クラウド連携用途が主流に

 下図は、中堅・中小企業が導入済み/導入予定としているノーコード/ローコード開発ツールの用途について尋ねた結果だ。

導入済み/導入予定のノーコード/ローコード開発ツールの用途(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 「導入済み」と「導入予定」を比較すると、「既存システムの機能追加」は37.4%と35.6%で導入予定が1.8ポイント低く、「既存システムの再構築」は31.7%と33.0%で導入予定が1.3ポイント高かった。「新規の業務システム開発」は、「導入済み」(38.1%)と比較して「導入予定」(18.2%)が19.9ポイント減と大幅に低かった。

 一方で、「レガシーマイグレーション」は20.1%と25.0%で導入予定が4.9ポイント高く、「クラウドサービス間の連携」は15.1%と26.1%で導入予定が11ポイント高かった。この2つは今後も増加が予想される。

 「『Microsoft Excel』代替のシステム開発」(13.7%と11.4%で導入予定が2.3ポイント低い)について、ノークリサーチは「すでにピークを過ぎた可能性がある」と指摘する。同様に「ヒトによる手作業の自動化」(12.2%と6.8%で導入予定が5.4ポイント低い)についても、RPA(Robotic Process Automation)との使い分けが意識されるようになり、「今後は減少する」とみている。

 ただし、ノーコード/ローコード開発ツールの別の分野ではまた異なる傾向が出ている。「超高速開発ツール」と「PaaSとして提供されているもの」の2分野について同様の分析を実施したところ、以下の図のような結果となった。

左は「超高速開発ツール」の用途、右は「PaaSとして提供されているもの」の用途(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 「既存システムの機能追加」用途は「超高速開発ツール」では全体的な傾向と同様に減少している。一方、「PaaSとして提供されているもの」では、「既存システムの機能追加」が34.1%と49.3%で導入予定が15.2ポイント高くなっている。ノークリサーチは「今後、有望な用途になる」と予測している。

 「レガシーマイグレーション」は、「超高速開発ツール」では24.7%と31.6%で導入予定が6.9ポイント高くなっているため、超高速開発ツールはレガシーマイグレーションに強みがある状況が続くと推測できる。一方、「PaaSとして提供されているもの」では26.8%と17.8%で導入予定が9ポイント低い。

 「クラウドサービス間の連携」は、クラウドサービスである「PaaSとして提供されているもの」で高い値を示した(29.3%と31.5%で導入予定が2.2ポイント高い)。「超高速開発ツール」では13.6%と27.2%で導入予定が13.6ポイント高くなっており、今後も増加傾向にあることが確認できたとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ