日本生命が基幹システムをハイブリッドクラウド化 メインフレームも刷新基幹システムのモダナイズ実践例

日本生命は機密データ保護を考慮して基幹業務システムにハイブリッドクラウド方式を採用した。マイナンバーの参照などのセキュリティが重視される手続きは引き続きハードウェア暗号化機構を持つメインフレームの特長を生かす。

» 2023年03月15日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 日本生命保険(日本生命)がオンプレミスの基幹システム基盤をIBMの最新メインフレーム「IBM z16」に刷新した。2023年3月14日に日本IBMが国内初の採用事例として発表した。

機密データのセキュリティを考慮したハイブリッドクラウド基盤を構築

 日本生命は2022年にIBM Cloudとコンテナ基盤Red Hat OpenShiftを採用したハイブリッドクラウドへの移行を発表していた。今回の発表はハイブリッドクラウドのうち、オンプレミス側の刷新に当たる。システムは2023年1月に本稼働を開始している。システム導入はニッセイ情報テクノロジーが協力した。

 日本生命は、生命保険業務の基幹システムにIBMのメインフレームを長年にわたって利用してきた。近年は機密性の高いデータを取り扱うセキュリティー基盤としても活用しているという。

 同社は2022年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けて基幹システムを最先端のクラウド技術と既存資産を活用したハイブリッドクラウドシステムに移行し、基幹システムのモダナイゼーションを図る方針を打ち出していた。今回導入したメインフレームはオンプレミスシステムの中核を担うシステムだ。高可用性や大量並列処理、セキュリティー、過去資産を生かす上位互換性などの特長を生かして、膨大な資産を保護するとともにシステムの安定稼働を支えるとしている。

 日本生命はこれまで、顧客との長期にわたる契約を安定的に維持管理するために基幹システムの資産を継承しながらも、顧客により良い価値を提供するために継続的にメインフレームを更新して最新のハードウェアやソフトウェアを活用してきた。システム更新を重ねる中で、予防保守によるシステムの安定稼働や資産保有の最適化によるコスト削減も進めている。セキュリティ面においてはマイナンバーの登録/参照業務にz16のハードウェア暗号化機構を活用するなど、メインフレームの技術の利点を積極的に利用してきた。

 直近ではクラウドやオンプレミスのオープン基盤とメインフレーム基盤を統合監視する仕組みの実地検証も検討しており、メインフレーム技術者の育成や開発効率の向上も進めている。

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